ヨタハチと同じツインキャブエンジンを搭載するパブリカのコンバーチブル
2024年10月20日に埼玉県川島町役場にて今年で4回目となる「昭和平成なつかしオールドカー展示会」が開催され、300台を超えるクラシックカーが集結しました。そんな会場で見つけた気になる車両とオーナーをピックアップ。今回は、非常に珍しいトヨタ初代「パブリカ」のコンバーチブルを紹介します。
所有して約半世紀が経過した貴重なコンバーチブル
会場で発見したのは、非常に珍しいトヨタ初代「パブリカ」のコンバーチブルだ。オーナーの折原さんはこのほかに新車から所有しているという1968年式のパブリカ セダンも所有しており、パブリカに精通した人物だ。
「このクルマは新車から5年落ちで手に入れました。モデルチェンジ目前の1968年式で、この年式のコンバーチブルは41台しかないはずです」
コンバーチブルはルーフがない状態でボディ強度を確保するべく、ドア開口部のプレス形状がセダンとは異なるほか、ダッシュ下の両サイドにも補強が入っている。オープン時には幌はリアシート後部に畳まれ、幌を開けた際の後方視界も良好。側面のリアウインドウはスライドして脱着する仕組みだ。
大衆車パブリカの豪華バージョン
パブリカはトヨタの大衆車構想に基づいて計画され、大衆向けの低価格な車両として徹底した合理化と低コスト設計が行われた。シンプルなデザインのフルモノコックボディに、水平対向2気筒の空冷エンジンをフロントに搭載し、1961年に登場した。38万9000円という軽自動車並みの低価格で販売されたのだ。
ところがコストダウンを徹底しすぎたためクロームパーツもほとんど備わらない簡素なボディは、同時に徐々に豪華路線へとシフトしつつあった軽自動車に押され気味となる。そこで1963年に基本モデルの上に装備を充実したデラックスやコンバーチブルを追加。また1966年にはビッグマイナーチェンジでボディ形状をアップデートするとともに、エンジンも700ccから800ccへと排気量を拡大することでパワーアップを果たしている。ちなみにモデルチェンジ後のコンバーチブルモデルは、トヨタ「スポーツ800」と同じツインキャブの2U型エンジンを搭載した豪華モデルという位置付けだ。
2度のレストアを経て今なお新車のような輝きをキープ
折原さんがこのクルマを入手した際は、新車当時に装着された「練5」というライセンスを掲げていたそうだが、入手した後に名義変更をしたことで、現在の「埼56」ナンバーとなっているそう。
また購入してから5年後、つまり新車から約10年が経過した時点で、長く乗ろうと思いリフレッシュを敢行。まだ純正パーツが豊富に入手できたため、ボンネットなどは純正の新品パーツを使ってレストア。この際に元色のホワイトからマツダ「コスモL」のレッドにボディカラーを変更している。
さらに今から20年ほど前にトヨタテクノクラフトでリニューアル作業を行っており、このときに幌もリニューアル。これによってまるで新車のような状態を今でもキープしているというわけだ。
>>>2023年にAMWで紹介されたクルマを1冊にまとめた「AMW car life snap 2023-2024」はこちら(外部サイト)