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もう一度行ってみたい!「ピーターセン自動車博物館」で本物の「ダイマクション・カー」に出会えて感激!!…もと西武百貨店だったビルも必見です

デービス ディヴァン3輪コンバーチブル コンチネンタル:戦後すぐに開発された前1輪のスリーホイーラー。写真では分かりづらいが、4人が横1列に座るパッケージはユニーク。FRP製のトップは脱着式のコンバーチブルとなっている

また訪れたいと思われる博物館のひとつだった

世界の自動車博物館を巡ることをライフワークとしている原田 了氏。2024年夏の旅では北米の自動車博物館を取材することができました。その第1弾として、カリフォルニア州のピーターセン自動車博物館を訪問。今回はどんなクルマと出会えたのでしょうか。早速お伝えしていきます。

北米の自動車博物館文化も危機的状況に

猛暑・酷暑から長引いた残暑まで、本当に厳しい暑さに悩まされ続けた夏。1カ月のロングランで北米の自動車博物館を探訪し、ヒストリックカーのイベントも取材した。訪れた博物館は29カ所にも及び、また2つのイベントもとても興味深いものだったから、撮影した写真や入手した資料は膨大なものとなり、通常の取材と執筆もそこそこに、その整理に追われる毎日となっている。ここでは少しずつ、その博物館を紹介していくことにしよう。

北米の博物館取材は2019年にシカゴを起点に中・東部の博物館を歴訪して以来で、今回は、その時に回れなかった西部の博物館を巡るスケジュールで計画を立てた。なかでもカリフォルニアには気になる博物館が数多くあり、いくつかの博物館は必見と位置付けていたのだけれど、マセラティを数多く収蔵していることで知られていたものの2015年に閉館となったリバーサイド国際自動車博物館(Riverside International Automotive Museum)に続いて、2024年の2月には素晴らしいコーチビルダーが手掛けた数々のフランス車を収蔵していたマリン自動車博物館(Mullin Automotive Museum)も閉館、馬齢を重ねた我が躰だけでなく彼の地の自動車博物館文化も、もう待っていられない状況となっていた。

ロサンゼルス空港に到着したその日に訪れた必見の博物館

今回の博物館探訪ツアーの最初、ロサンゼルス空港に到着したその日に訪れたのはピーターセン自動車博物館(The Petersen Automotive Museum)だった。1994年にオープンし、2015年に現在の場所に移転してリニューアルオープン。ちなみにこの建屋はもともと、西武百貨店のロサンゼルス店として営業していたビルを購入し、改築したもの。紅く塗った外壁をアルミとステンレスのリボンで覆うという奇抜な手法でまとめられ、多くの博物館などが点在するこのエリアでも間違いなく大きなランドマークとなっている。

ロサンゼルス空港からレンタカーでアメリカン・ホンダ、通称「アメ・ホン」の本社に向かい、広報車の「シビック タイプR」に乗り換えてピーターセン自動車博物館を目指す。約18マイル(30km足らず)の道程ではタイプRの爽快なドライビングを楽しんでいたが、目の前にピーターセン自動車博物館の建屋が現れると、まさに目が点に。インターネットで確認済みだったが、予想以上にぶっ飛んだ風貌に驚いた次第だ。

ピーターセン自動車博物館では本館に隣接して立体駐車場が用意されているから、クルマで訪れても駐車場の心配は無用。それでも7月下旬の夏休み期間だからなのか、駐車場は8割方が埋まっており、自動車博物館の人気の高いことが窺われて、クルマ好きとしては嬉しい限り。

タイプRを3階に停め、階段を降りて1階にあるメインエントランスから博物館に入っていくと、場外フロアに多くの車両が展示されていた。これは「Lowrider Icons of the Street and Show」と銘打った企画展の一環で、Lowrider=低車高、つまりはシャコタン改造車を集めたもの。ギンギラギンに飾り付けたクルマたちにはあまり興味が湧かないので少しだけ写真を撮って、早々に展示ホールへと入っていった。

ダイマクション・カーと出会えた!

今回、ピーターセン自動車博物館での目玉は「ダイマクション・カー」(Dymaxion Prototype Two/Ford 3.6ーLiter V8)。5年前の北米中東部の博物館探訪で訪れたナッシュビルのレーン自動車博物館(Lane Motor Museum)でも展示されていたことを記憶しているが、あちらは3台造られたうちの1号車のレプリカだった。しかし今回出会った個体は「ハーラーコレクション」として知られる国立自動車博物館(National Automobile Museum – The Harrah Collection)が所有し、同館からピーターセン自動車博物館に貸し出された正真正銘の2号車で、感激もひとしおだった。

ほのぼのとした出会いに心を和ませた

今回、ピーターセン自動車博物館ではほのぼのとした出会いもあった。それは1938年式のヒスパノ・スイザ(Hispano-Suiza H6B Dubonnet Xenia by Saoutchik)の存在だ。この個体、それまではマリン自動車博物館の創設者でありフランスの魅力的なヒストリックカーを数多くコレクションしていることでも知られているピーター・マリンさんが所有していたもので、マリン自動車博物館に収蔵されていた1台だ。

ところがマリンさんが2023年9月に亡くなり、2024年2月にはマリン自動車博物館も閉鎖されてしまった。こうした場合、収蔵されていた車両はオークションに出品されコレクターズアイテムとして散逸してしまうケースはよくある話。

今回も何台かがこうして売却されたとも聞こえてくる。しかし1938年式のヒスパノ・スイザをはじめとして4台のヒストリックカーがピーターセン自動車博物館に寄付されていたのだ。同館に展示されているヒスパノ・スイザの流麗なボディの中に、そんな心温まるストーリーが隠されていることを知り、いっそう愛おしく思えてきたのは事実で、こうしたほのぼのとした出会いも博物館探訪の愉しみのひとつとなっている。

総計150台とも言われる収蔵車両のうち、この日の展示ホールで出会ったのは約半数で、残る半分は収蔵庫の中で休息中と思われ、絶対的な台数はともかくとしても、その内容としては充分に堪能することができたピーターセン自動車博物館。可能ならばまた訪れたいと思われる博物館のひとつとなった。

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