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プアマンズポルシェの「914」が1億円以上の価値!? 理由は14台のみ生産された「914/6 GT」だったと聞けば納得です

プアマンズポルシェの「914」が1億円以上の価値!? 理由は14台のみ生産された「914/6 GT」だったと聞けば納得です

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TEXT: 武田公実(TAKEDA Hiromi)  PHOTO: Bonhams

現代版ツール・ド・フランスやル・マン・クラシック出走歴も

こうして修復を終えた、この914/6 GTはシルヴァーストーン・サーキットでシェイクダウンされ、英本国の『Octane』誌がこのクルマを取材して特集記事を組んだほか、2010年の『Porsche Classics』誌にも掲載された。またそれ以来、2010年の「ツール・ド・フランス・オート」や2012年の「ル・マン・クラシック」に参加するなど、登場の頻度こそ減ったものの、今なお継続的に走行しているという。

今回のオークション出品にあたって添付されたファイルに含まれる請求書によると、英国の有名なスペシャリスト「マクステッド=ペイジ」社によって追加作業が行われたことがわかる。また2014年から2022年まで、シャシーナンバー0181はフランスの重要なポルシェ・プライベートコレクションの一部となり、オリジナル性を際立たせる見事な改装が施されたうえで、素晴らしい状態で保管された。

シャシーナンバー0181は2022年に現オーナーが入手し、北米ニュージャージー州の「ガス・ヴェルクス・ガレージ」に送られ、その性能と信頼性を最高水準に高めるための包括的な整備を受ける。ウェーバー社製キャブレターの整備、バルブ調整、オイルとフィルターの交換を含むフル・エンジンサービスが完了したほか、燃料システムも徹底的に点検・整備された。

また、ブレーキキャリパーはリビルトされ、ローターとブレーキホースを交換。制動力を最適化するためにブレーキシステム全体が洗浄され、フロントとリアにレース用ブレーキパッドが装着された。

タイヤは現役当時と同じスペックの「ミシュランTB15」が装着され、パフォーマンス・アライメントも入念に行われた。エキゾーストシステム全体にはセラミックコーティングが施され、耐熱性と耐久性が向上している。

この車両は近年レースにこそ出場していないながらも、北米コネチカット州の「トンプソン・レースウェイ」で大規模なテストを行い、その準備と能力を証明した。

オークションには少数のスペアパーツも付属

このオークションにおけるザイラー914/6 GTは、FIAホモロゲーション書類、ザイラーとエットミューラーの活躍を収めた多数の個人写真やレース結果、計時表、「ポルシェクラブGB」発行の真正証明書(保険用)などを含むドキュメント一式も引き渡されることになっており、さらに、1970年から1971年にかけてザイラーが獲得したトロフィーや、少数のスペアパーツも販売に含まれるとのことであった。

ボナムズ社は「シャシーナンバー0181は、おそらくこの希少で強力なポルシェの現存するなかでも最もオリジナルな1台であり、ヨーロッパのプライベーターGTレースの栄光の時代に活躍した魅力的な人物の手になる、魅惑的な実績があります」というPRフレーズとともに、90万ドル(邦貨換算約1億3800万円)~120万ドル(邦貨換算約1億8400万円)という、確たるレースヒストリーのあるポルシェ「レン・シュポルト」に相応しいエスティメート(推定落札価格)を設定していた。

ポルシェ本社スポーツ部門からコンプリート状態のレーシングカーとしてデリバリーされた914/6 GTが一般マーケットに出回る事例はきわめて少なく、また設定価格も昨今のポルシェ「レン・シュポルト」人気の市場では妥当かと思われたのだが、実際の競売では出品サイドの規定した「リザーヴ(最低落札価格)」には到達せず、残念ながら「流札」に終わってしまったようである。

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  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 1967年生まれ。かつてロールス・ロイス/ベントレー、フェラーリの日本総代理店だったコーンズ&カンパニー・リミテッド(現コーンズ・モーターズ)で営業・広報を務めたのちイタリアに渡る。帰国後は旧ブガッティ社日本事務所、都内のクラシックカー専門店などでの勤務を経て、2001年以降は自動車ライターおよび翻訳者として活動中。また「東京コンクール・デレガンス」「浅間ヒルクライム」などの自動車イベントでも立ち上げの段階から関与したほか、自動車博物館「ワクイミュージアム(埼玉県加須市)」では2008年の開館からキュレーションを担当している。
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