ほぼ未走行のザルツブルクカラー
いっぽう、インテリアはむき出しのアルミパネルで仕上げられ、ドライバー用のミニバケットシートやクイックリリース式のステアリングホイールも装備。5歳以上の子どもが乗ることができるほか、一体化したドア&ルーフ、およびチャイルドシートを外せば、大人でも乗車可能とのことである。
917K ジュニアは全車、オーダー主の希望に合わせたボディカラーとインテリア・トリムの組み合わせでオーダーメイドするとのことで、ハーフスケール・カーズ社のカタログでは「ガルフ」や「マルティーニ」のリバリーもラインナップされているが、今回の「The Quail 2024」オークションは、1970年のル・マン24時間レースでポルシェに史上初の総合優勝をもたらした「ザルツブルク」カラーのゼッケン18番を模したものとなっている。
ほぼ未走行というこの917K ジュニアをオークションへと出品させるに際して、ボナムズ社は4万ドル(邦貨換算約610万円)~6万ドル(邦貨換算約920万円)という、なかなか強気なエスティメート(推定落札価格)を設定していたのだが、その一方で「Offered Without Reserve(最低落札価格なし)」での出品としていた。
この「リザーヴなし」という競売形態は、価格の多寡を問わず落札できることから、とくに対面型オークションでは会場の雰囲気が盛り上がり、ビッド(入札)が跳ね上がる傾向もある。その反面、たとえ価格が売り手側の希望に到達しなくても、自動的に落札されてしまうリスクも内包している。
そして迎えた競売では「リザーヴなし」が裏目に出てしまったようで、ボナムズ社側に支払うプレミアム(手数料)込みでもエスティメート下限に届かない3万5840ドル。現在のレートで日本円に換算すれば、約550万円で競売人のハンマーが鳴らされる結果となったものの、それでも元来が子ども用と思えば、やはり驚きに値する高額落札といえるのではあるまいか……?