警視庁も「2秒ルール」を提唱
走行中の車間距離は、ドライバーのセンスが割とくっきり出るポイントです。交通事故の類型別で最も多い追突事故(全体の30.5%)は、車間距離が十分あれば避けられるケースがほとんどとなっています。
安全で適切な車間距離とは
車間距離が短いと追突事故を起こす確率が高くなり、あおり運転ととらえられる可能性も大きくなる。また、車間距離が短いことで、そのドライバーがイライラしているようにも見え、いわゆる「アブナイ人」と認識されることもあるだろう。
反対に車間距離が広すぎても、高速道路であればどんどん割り込まれ、後ろのクルマに、「ノロノロ走って」「この下手くそが」とストレスを感じさせる原因にもなる。場合によっては、それがあおり運転を誘発させる遠因にもなってしまうことも……(原因はともかく、あおり運転はあおる方が悪い)。
したがって、安全で適切な車間距離が取れるかという感覚は、ドライバーとして早く身につけておきたいところ。ではその安全で適切な車間距離は、何を目安にすればいいのだろうか。
時間で測るとセンスのいい距離が掴める
それはずばり時間で測ること。
教習所では、100km/hで走っているときの車間距離は100m、60km/hのときは60mと教わったかもしれないが、実践的、実用的には「2秒ルール」がおすすめだ。つまり前走車と自車の間が、2秒間で進む距離になるようにすればいいということ。
この2秒の根拠は、最初の1秒が危険を認知しそれを回避するために行動する時間。次の1秒がブレーキなどの回避行動が実際に効力を発揮するまでの時間だ。
警視庁のホームページにも、
「統計的には車間時間2秒以内での事故は死亡事故を含む重大事故が多く、2秒以上離れていた時は大きな事故とはなっていないことが示されています」
と書かれていて、この「2秒ルール」を提唱している。
具体的には、道路わきの看板、路面のジョイント、照明灯などを目印に、前走車がある地点を通過してから2秒後に、自分がその位置に到達すれば、適切な車間を空けて走行していることがわかる。このやり方で確認すればOKだ。
時間で車間距離を測ると、速度=秒速が速くなると距離も比例して長くなるため、高速道路でも郊外でも市街地でも、全部「2秒ルール」が通用する(例:40km/hなら=22.2m、60km/hなら33.3m、80km/hなら44.4m、100km/hなら55.6m)。
ただひとつだけコツがあり、走行しながら頭の中で「イチ、ニ」とカウントすると、実際の2秒に満たないことが多いので、心の中で「イチ、ニ」の前に「ゼロ」をつけて、ゆっくりと「ゼロイチ」(01)、ゼロニ(02)と唱えること。
慣れるまで、少し練習する必要があるかもしれないが、これを意識するだけで、安全でセンスのいい車間距離が身につくので、ぜひとも実践していただきたい。