AT車のハコスカを発見!
日産が1968年にリリースした3代目「スカイライン」こと「ハコスカ」は、国産旧車の王道といっても過言ではないでしょう。そんなハコスカをこよなく愛するオーナーが3台目に迎えたのは、まさかのAT車のGC10型「スカイライン GT-X」でした。現在と違ってMT車があたり前の時代に、AT車は紛れもないレア車だったのです。オーナーの近藤喜代志さんに話をお聞きしました。
スカイラインとともに人生を歩むオーナーが選んだのは…
日産を代表するクルマは「スカイライン」がもっともふさわしい……といえる。それは過去の歴史を紐解いてもわかる。12代にわたって受け継がれた血統は姿や形こそ変化したが、テーマやコンセプトは歴代モデルに反映されている。先代の面影を大切にしながら時代にあわせた進化。これはほかのクルマにはないスカイラインだけが守ってきたテーマといえるだろう。
メーカーの強い意志を感じるクルマが少なくなってきたなかで、スカイラインからはつくり手の情熱が伝わってくる。オーナーとしてみれば、これからもスカイラインをパートナーに走りを楽しみたい。それは開発者の情熱を知ると、自然と思うことだ。
ここで紹介する近藤喜代志さん(64歳)はスカイラインとともに人生を歩むひとりだ。その車歴は、一番最初のハコスカが1972年式のGC10型で、その次に1971年式のハコスカGTを購入。この2台を乗り継いだ後に、現在の1972年式のGC10型ハコスカ GT-Xに再び乗り換えた。過去を振り返ってもハコスカ好きであることは明白だが、3台目のハコスカはこれまでと違って特別な存在なのだ。
エンジンは2600ccにボアアップ
じつは筆者も初めて見たのだが、近藤さんのハコスカは驚くことにトランスミッションがMT式ではなくAT式だった。1972年式のオートマ車で、しかもそれがハコスカというから驚きだ。これは載せ換えではなく、実際に当時販売されていた純正オリジナルだから貴重だ。
現在と違ってMT式があたり前の時代に、AT式は紛れもなくレア車である。近藤さんもたまたま販売していたAT式のハコスカに魅了されて、ハコスカGTを手放して購入を決めたと話す。
よくレストアされ、磨き込まれた車体からも愛情の深さを感じる。バンパーや各モールもピカピカで、コンディションは抜群だ。オリジナルの良さを崩すことなくエンジンはL20改として2600ccに排気量を上げ、カム交換、ヘッド面研を含めた吸排気系のチューニングを施す。エンジンは速く走るためのレーシングな発想ではなく、あくまでもドライブを楽しむためにゆとりを持たせて仕上げている。
ホイールはなつかしのRSワタナベをセレクト
サスペンションは純正のままではふわふわすぎてコントロールできない挙動を抑えるため、スターロード製の車高調キットを装着。ほどよくダウンさせてリセッティングしている。タイヤはフロントが185/70-14、リア195/70-14を履かせている。
ホイールは、一番最初に所有したハコスカではRSワタナベ、その次に乗ったハコスカGTはハヤシレーシングを装着していた。どちらかにしようかと悩んだ末に、最初に乗っていたハコスカに寄せるスタイルでRSワタナベの8スポークをセット。履かせてみると、やっぱりこっちの方がハコスカらしくしっくりくるとご満悦。サイズは前後とも6.5Jということだった。
今後の予定について尋ねると、じつは撮影時の朝にクーラーが不調となり動かなくなってしまったという。そのため、早くこれを修理しなければと話してくれた。
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