少年時代に憧れた小さな青い機関車「ケー100」のレプリカを製作
古くから「三つ子の魂百まで」と言われるように、子どもの頃に体験した楽しい思い出や、その頃に培われた趣味趣向というものは、大人になってからも人生に影響を与え続けるものです。例えば毎週夢中になって見ていたテレビドラマ。そこで主人公の相棒として活躍していた劇中車のことが忘れられないというマニアも少なからず存在し、中にはその実車やレプリカを手に入れてしまう人もいるわけです。
半世紀前に多くの子どもたちを魅了した『走れ! ケー100』
1973年から放送された子ども向けTVドラマ『走れ! ケー100(けーひゃく)』。これはスクラップとして解体される寸前だった小さな蒸気機関車・ケー100が主人公らによってレスキューされ、レストア。その際にケー100は公道走行可能な装輪車両に改造される。そのケー100に乗った主人公の青年が、かつてこのケー100を運転していた老機関士を探して全国を旅するというお話だ。
ある意味、『水戸黄門』や『木枯し紋次郎的』な諸国漫遊ものなわけだが、乗り物好きの少年を中心に当時はかなりの人気を博し、子ども向けのオモチャなどもリリースされるなど、大きな話題となった番組だった。
2024年9月29日に埼玉県の川島町役場駐車場で開催された「ALL JAPAN minicar MTG(オールジャパン・ミニカー・ミーティング)」。このイベントはその名のとおり原付四輪車が主役というユニークなもので、免許不要の特定小型原動機付自転車から普通免許が必要な一般原動機付自転車(ミニカー)、三輪のトゥクトゥクから乗車定員が2名となる超小型モビリティまで、初の開催にもかかわらず約100台ものミニカーがエントリー。それら個性的な参加車両の中でもひときわ異彩を放っていたのがこちら。
自作したオーナーはグラフィック・デザイナー
「ご覧のとおり、ケー100です。もちろん当時の撮影に使われた本物ではなく、自作のレプリカです」
と説明してくれたのは、オーナーの小田尚嗣(おだ なおつぐ)さん。氏の本職はグラフィック・デザイナーで、1988年式のシトロエン「2CV」のオーナーでもある。一見本物の劇中車にしか見えない全体のまとまりの良さと行き届いたディテール再現は、そのお仕事柄ゆえか。
そんな小田さん、御多分に洩れず少年時代に『走れ! ケー100』を見て育ち、1970年代の日本の路上を自由自在に走り回る小さな青い機関車に憧れた世代だ。長年「誰かケー100のレプリカを作ってくれないかなぁ」と思っていたが、ついに一念発起して自分の手でワンオフのケー100レプリカの製作に着手したのは2017年のこと。それから完成までは半年ほどだったというから、製作は結構なハイペースかと。
「ボディはアルミのフレームに発泡ポリエチレンボードをかぶせて作っています。ポリエチレンボードは軽くて加工もしやすいのですが、素材の色をそのままボディ色にしているので洗車ができないのが玉にキズです」
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