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貴重な「バルケッタ」が伊豆に47台集結! スタンゲリーニの孫娘も参加した「第9回クラブ・デッラ・バルケッタ」に密着取材してきました

スタンゲリーニや伊豆長岡の芸妓さんたちとともに、記念写真に納まるフランチェスカさんとフランチェスコさん。腕を組むのがイタリアでは代表的なポージングなんだとか

47台のバルケッタが参加した

立冬も過ぎ朝夕の肌寒さも少しずつ厳しさを感じるようになった2024年11月16日(土)、伊豆を舞台に第9回クラブ・デッラ・バルケッタが開催されました。今回はイタリアのスタンゲリーニ本社から創業者の孫娘であるフランチェスカさんが来日し、イベントは盛況のうち終了しました。

そもそもバルケッタとは

バルケッタ(Barchetta)とは、イタリア語で曳舟や小舟を意味している。最初にこう呼ばれたのは1948年に発表されたフェラーリ「166M」だった。マスコミが、このクルマのボディ形状を表すのに使ったことが記録されている。それ以降、オープン2シーターのフェラーリ「166MM」モデルもこう呼ばれるようになった。

やはり1948年にはO.S.C.A.が「MT4バルケッタ」を発表、1953年にはモレッティが「750バルケッタ」を、1966年にはアバルトが「1000SPレーシング バルケッタ」を発表していて、バルケッタというネーミングが一般的になると、それ以前に登場していたロードスターもこう呼ばれようになり、今ではイタリア車やフランス車の2座のロードスターを洒落てこう呼ぶようになった経緯がある。

スタンゲリーニは4台参加

この「クラブ・デッラ・バルケッタ」というイベントは参加者の公募もしない「身内のイベント」と主催者も苦笑しながら話すが、2004年に初開催されて以来口コミで参加者も増え、世界的なパンデミックとなった新型コロナウィルス感染対策による休止期間を経て5年ぶりの開催となった2024年、9回目となる今回は47台もの参加者(クルマ)が顔を揃えていた。

主催する同委員会の代表を務める福田泰仁さんはイタリア本社から公認されたスタンゲリーニ・ジャパンを主宰しているが、その関係から今回はイタリアのスタンゲリーニ本社から創業者の孫娘であるフランチェスカさんが来日することが決定。イベントでもスタンゲリーニをフィーチャーし、展示参加の2台のスタンゲリーニ「FJ」(うち1台は福田さんがモナコ・クラシックで走った個体)を筆頭に、スタンゲリーニ「750S」とスタンゲリーニ「1100S」が合わせて4台参加。イタリアから来日したフランチェスカさんも

「よく集まりましたね」

と感激していた。

当時にタイムスリップしたかのようなコスチュームで参加

受付開始の午前9時が近づくと、スタート&ゴールとなるメイン会場の中伊豆ワイナリーシャトーT.S.に参加者が三々五々と集まってくる。そして受付を済ませた参加者はぐらっぱの丘・芝生広場に移動する。ここは遠景に富士山を望む広大な芝生エリアで、当日は曇り空だったがうっすらと顔を見せた富士山をバックに記念撮影を行った。記念撮影を前に、交通整理をする騎馬警官よろしく代表の福田さん夫妻が騎馬警官のコスチュームを身にまといながら馬に乗って登場。参加者もクルマに合わせたコスチュームを身にまとっていて、まるで当時にタイムスリップしたかのようで、これもイベントの愉しみのひとつとなっている。

そして何より愉しみとなっているのが、同好の士と話すこと。芝生広場のあちらこちらでクルマを見せ、褒め合いながら自慢し合いながらクルマ談義に花が咲く。姫路ナンバーのナルディ・ダネーゼで参加した有川裕之さんは次のように笑顔でコメント。

「ヒストリックカー歴はまだ2年未満で、このクルマを手に入れたのも数カ月前のこと。姫路からではなく、預けている名古屋のガレージから走ってきました。このイベントにも初参加ですが、いろんな人たちとの出会いがあって世界が広がるのを期待しています」

札幌ナンバーのMG「ミジェット」をトランポに載せて走って来たという高橋和寛さんは楽しそうに著者に話しかけてくれた。

「このイベントは初参加です。ローカルのイベントには何度か参加したのですが、これほどしっかり走れるイベントはありません。とても楽しい1日になりそうです」

他の参加者も同様に笑顔の花があちらこちらに。

スタンゲリーニ家を主宰するフランチェスカさんも同行した友人のフランチェスコ・デ・ピエトリさんとともに、参加者とクルマ談義に花を咲かせていた。ちなみに、フランチェスコさんのデ・ピエトリ家はスタンゲリーニ家とは家族ぐるみの付き合いが長く、フランチェスコさんが今回の参加者にお土産として持参したバルサミコ酢は、デ・ピエトリ家のぶどう畑で採れたぶどうで造られた物とのこと。フランチェスカさんが持参したスタンゲリーニのステッカーとともに、参加者には堪らないお土産になったことだろう。

希少なマシンでゴールを目指しツーリング

それはともかく芝生広場に隣接するぐらっぱの丘・蒸留所でブランチをとった後ドライバーズミーティングを行い、11時45分から10秒おきに1台ずつスタートしていった各車は、冷川インターから伊豆スカイラインに入り、韮山峠を経由して約50kmのドライブで中継地である韮山反射炉に到着、1時間ほど小休止となる。韮山反射炉の駐車場には観光客に加えて地元の人たちも駆けつけていたが、小学生がカメラを持ってヒストリックカーの写真を撮りまくっている姿も散見され、未来のファンに期待が膨らんだ。

小休止の後に韮山反射炉から再スタートした参加者は、今度は駿河湾を望む海沿いのルートを辿り、長井埼を経た後に再び山沿いに道をとり、西伊豆スカイラインに入って達磨山を通り、土肥温泉や修善寺温泉を過ぎ、戸田峠を経てゴール地点の中伊豆ワイナリーシャトーT.S.に向かう。

この行程は約70kmもあるが、駿河湾を望む海沿いのセクションでは絶景を楽しみ、また山沿いのセクションではワインディングのドライブを愛機とともに愉しみ、満足感たっぷりの行程を、心行くまで楽しむことができたようだ。

さらに中伊豆ワイナリーシャトーT.S.にゴールし、ホテルにチェックインした後には再び中伊豆ワイナリーシャトーT.S.のレセプションハウス ホワイエに集まりウェルカムシャンパンタイム、そして親睦晩餐会へと続いた。昼間の走行会では当時のコスチュームだったが、ここでは正装の紳士淑女に大変身。晩餐会で芸を披露することになっている伊豆長岡の芸妓さんたちもひと足早く登場し、クルマを囲んで記念写真を撮り合い、またクルマ談義を交わしているうちに花火が上がる趣向となり、楽しい夜は続いていった。

このイベントにはスタンゲリーニだけでなくシアタやモレッティ、ナルディやチシタリアなど、マニアには眼福なクルマが数多く参加していた。そちらについてはまた改めて紹介することにしよう。お楽しみに。

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