免許センターと警察署で手続きができる
世界をパニックに陥れたコロナ禍も過ぎ去り、再び自由に海外旅行を楽しめるようになりました。慣れない人や、治安が悪い国に行くなら、宿も観光もセットのツアーが安全ですが、そうではない場合はレンタカーを借りて自ら運転するのもひとつの手です。そんな旅に必須なのが「国際運転免許証」。制度や取得する際に必要なモノなどを解説します。
日本は「ジュネーブ交通条約」、100以上の地域などで運転が可能
スケジュールに縛られない気ままな旅は魅力で、見知らぬ土地を運転するワクワク感も満喫できる。慣れ親しんだ日本と異なり交通ルールに戸惑うこともあれば、事故や犯罪に遭わないよう配慮も十分にしなければならないが、圧倒的な自由度と解放感を一度でも体験したらやみつきだ。
国際運転免許証は「道路交通に関する条約」に基づいて発行される。日本が締結しているのは「ジュネーブ交通条約」と呼ばれており、世界で100を超える地域と特別行政区などで運転が可能になる。なおジュネーブ交通条約を発展させた「ウィーン交通条約」もあるが、日本は締結しておらず当該国でクルマは運転できないので注意しよう。
続いて取得する方法について。たまに「英語での試験がある」と勘違いしている人もいるが、実際は非常に簡単でテストの類は一切ないので安心して欲しい。必要なものは日本の運転免許証とパスポート(忘れたら航空券など渡航することを証明できる書類でも可)に、パスポートと同サイズの顔写真(縦4.5cm×横3.5cmで6カ月以内の撮影)と申請手数料の2350円だけだ。場所は住所が登録されている都道府県の運転免許センター、または対象外もあるので要確認だが警察署でも手続きできる。なお運転免許センターならその場ですぐ交付され、警察署なら約2週間の日数を要するので注意しよう。運転できる車両はAからEまでの区分があり、日本で発行された運転免許証の種別に準じる。
例えば日本の普通自動車/中型自動車/第一種大型自動車などは「B」(乗用に供され、運転者席のほかに8人分をこえない座席を有する自動車または貨物運送の用に供され、許容最大重量が3500kgをこえない自動車。この種類の自動車には、軽量の被牽引車を連結することができる)だ。そして二輪車は大型も中型もAT限定も小型限定も引っくるめて「A」(二輪の自動車、身体障害者用車両及び空車状態における重量が400kgをこえない三輪の自動車)となっている。
旅行中に期限が切れたらアウトなので注意
海外旅行のガイドブックには必ず書かれているが、渡航するときは国際運転免許証だけではなく、日本の運転免許証を持っていくのも忘れずに。レンタカーを借りる際は双方の提出を求められ、コピーや画像ではなく原本でなければいけない。盗難が不安で日本に置いておきたい気持ちは分かるが、現地に着いてクルマを借りられないのは本末転倒だ。そして運転するときは日本と同じく、つねに国際運転免許証を携帯すること。
警察に止められれば当然ながら提示しなければならず、不携帯なら無免許や犯罪など痛くもない腹を探られ、余計な時間や手間を取られる可能性が非常に高い。旅行中はパスポートやサイフとあわせ、つねに身に付けておくのがベターだ。
最後に国際運転免許証の期限と、帰国した後の返却などについて。有効期間は発行した日から1年間となっており、更新はできず失効したら新しく申請が必要。期間内であれば何度目の海外渡航でも使用できるが、旅行中に期限が切れたらアウトなので注意してほしい。
渡航の前にいったん古い国際運転免許証を返納し、再び申請し直すという手順を踏めば防げるので、旅の計画を立てる時点で有効期間は要チェックだ。そして期限が切れた国際運転免許証は、運転免許センターや警察署へ速やかに返却する。旅の思い出に取っておきたい気持ちも分かるし、とくに催促されたり罰則があるわけでもないが、失効したら返納するのが義務と覚えておこう。
なお放置しても次回の申請時に返納を求められるし、紛失したらそれはそれで書類による届出が必要になる。最初こそ心理的なハードルが高いかもしれないけれど、文字どおり気ままな旅を叶えてくれる国際運転免許証。政情や治安をしっかりと下調べしたうえで、海外でのドライブにチャレンジしてみよう。