20台限定のレアモデルがオークションに登場
2024年7月22日~24日にRMサザビーズがドイツ・バイエルンアルプスで開催したオークションにおいて、ブガッティ「シロン スポーツ 110 アン ブガッティ」が出品されました。今回オークションに出品されたモデルは2019年11月25日にドイツで登録されて以来、ワンオーナーで所有されてきた個体。現在までの走行距離は1461kmと表示されていました。
ブガッティ創立110周年を記念したモデル
ブガッティの歴史は、3つの時代に大別することができる。仮に第1期、第2期、第3期と表現するのならば、1909年にエットーレ・ブガッティによって設立され、1963年まで存在した第1期ブガッティ。1987年にイタリアで再建され1995年まで活動を続けた第2期ブガッティ。そして1998年にVWによって商標権と自動車の製造権が取得され、再び誕生した第3期ブガッティの各々がそれだ。
ちなみにVW傘下のブガッティ(正確にはブガッティ・オトモビル)は、現在ではクロアチアの自動車メーカーであるリマックとの合弁会社であるブガッティ・リマックの子会社として存在しており、先日はその最新モデルとなる「トゥールビヨン」を発表。世界にその存在を改めて強く主張することになった。
そのブガッティは過去に2回、110周年を祝ったモデルを市場に投じたことがある。最初のモデルは第2期ブガッティの時代に、エットーレ・ブガッティの生誕110周年に合わせ登場した「EB110」。そして2度目の110周年モデルが、今回RMサザビーズのテーゲルンゼー・オークションに出品された、第3期ブガッティの作品「シロン スポーツ 110 アン ブガッティ」だ。
同モデルは、1909年の第1期ブガッティの創立から110年目を記念して2019年に誕生したモデルである。シロンはそもそも2016年から500台を限定生産することを計画して誕生したモデルだったが、創立110周年記念モデルは2018年に発表された「シロン スポーツ」をベースに20台が製作されたもの。500台しか存在しないシロンの中でさらに20台の限定車であるから、市場での希少価値は非常に高い。オークションにそれが姿を現すことも、今後も含めてめったにあることではないだろう。
スカイビュー・ルーフが標準装備
さっそくそのディテールを見ていこう。ブガッティの伝統である馬蹄型のグリルはアルミニウム製の専用タイプ。ボディはスポーティなスチールブルーカーボン仕上げで、エンジンルームまわりとボディサイドの特徴的なC字型ラインはマットスチールブルーでペイントされている。
サイドミラーのカバーとフィラーキャップには、フランス国旗のトリコロール「ル・ブルー・ブラン・ルージュ」があしらわれ、さらにアクティブ・リアウイングの下面全体にはその国旗のカラーが全面に採用されている。
前後のマットブラックアロイホイール「ノクターン」の内側に見えるのは、フレンチレーシングブルーにペイントされたブレーキキャリパーとセラミックディスク。スポーツエグゾーストシステムにも、マットブラックの「EB」ロゴが配されていることが分かる。同様の限定車としての特別なフィニッシュは、ディープブルーのレザーインテリアにも施されている。スポーツシートのバックレストとヘッドレストには、やはりトリコロールをモチーフとした刺繍が入り、ステアリングホイールもカーボンファイバーとブルーレザーの専用アイテムで、そしてスタンダードなシロンではオプション装備となるスカイビュー・ルーフが標準装備されていたのも、このモデルの大きな特徴だった。
ミッドに搭載されるエンジンは、もちろん8LのW型16気筒+4ターボ。最高出力は1500psに達し、スタートから100km/hまでの加速はわずか2.4秒以下で、また最高速では420km/hを記録するパフォーマンスが実現されていた。
ワンオーナーで所有されてきた
今回オークションに出品されたモデルは2019年11月25日にドイツで登録されて以来、ワンオーナーで所有されてきたモデル。現在までの走行距離は1461kmと表示されているのみだ。また車両にはブガッティ・オリジナルのシロン・アクセサリー・ボックスのほか、スピードキー、充電器、カーカバーなどが備わっている。
RMサザビーズは、わずか20台の限定車、シロン スポーツ 110 アン ブガッティに、330万ユーロ~380万ユーロ(邦貨換算約5億5176万円~6億3536万円)のエスティメート(推定落札価格)を設定。残念ながら今回のオークションでは落札には至らなかったが、ブガッティというブランドが自動車の世界においては、やはり特別な、そして孤高の存在であることは十分に伝わったのではないだろうか。