JCCAのJAF公認ヒストリックカーレースに510ブルーバードで初参戦
2024年10月13日に筑波サーキットでJCCA(日本クラシックカー協会)が開催したJAF公認ヒストリックカーレースへ、「人生のやり残しを実現するぞ!」とダットサン510型「ブルーバード」でチャレンジしたのは、じつはAE86 N1レースでシリーズチャンピオン3回、8年間コースレコードホルダーというスゴい人でした。
AE86 N1レースで輝かしい戦歴を誇るハチロク遣い
筑波サーキットで2024年10月13日に開催された「JCCA筑波ミーティング」で、参加車両が並んだピットに佇む1台のダットサン510型「ブルーバード」。そのリアフェンダーには「コシミズモータースポーツ」の文字が。モータースポーツファンなら、あれ? どうして510に? と気づくだろう。そう、輿水好則氏の主宰するAE86のプロショップであり、筑波サーキット前にあるファクトリーとしてよく知られた存在である。
この510ブルーバードのオーナーである下平明彦さんは、途中2年間お子さんの仕送りのため参戦休止もあったが、2001年から2021年までSCCN(ニッサンスポーツカークラブ)の主催する「AE86&P-FR」レースシリーズに参戦。3回のシリーズチャンピオンを獲得するだけではなく、2004年から8年間、筑波でのAE86 N1のコースレコードを保持。長くAE86でモータースポーツを楽しんできたドライバーである。
かつて憧れて眺めていた510ブルーバードそのものを入手
「大学4年の時、JCCA富士ジャンボリーを見に行って、いつかはこのレースに出たいと思い、1998年にPクラス(サスペンションのみ変更が許されるノーマル車両)参戦を考えて510を作りましたが、結局は街乗りだけで手放して、レースカーのAE86を買いレースを始めました」
という下平さん。その後何度もJCCAのレースを見に行って、気になった510を写真に収めていたとのことで、今回参戦することとなったこの車両がかつてPクラスに参戦していた頃の写真も手元にあったという。
「驚きましたよ、AE86での長いレース活動で出会ったみなさんの協力があって、そんな車両と出会えたのも嬉しいですね。じつは父が日産の営業マンで、小学生の頃は、勤め先の日産に行くのが大好きでした。父も乗っていたクルマですし、ヒストリックカーレースをするなら、これしかないですよね」
JCCAを主催する岡さんや、レース仲間の小宮山さんの協力もあり、約20年にわたり休眠していたこの510を譲り受けたのが2021年のことであった。
>>>2023年にAMWで紹介されたクルマを1冊にまとめた「AMW car life snap 2023-2024」はこちら(外部サイト)
浅野自動車&コシミズモータースポーツで整備
「AE86レースの頃からのお付き合いがあるので、輿水さんに仕上げていただきたかったのですが、“ハチロクの整備で忙しいから、いつ参戦できるか分からないよ”なんて言われてしまい、輿水さんと仲の良い浅野自動車さんで初期整備をお願いました。クラックが入ったヘッドとラジエターを新規で製作した以外は分解整備やオーバーホールで、他は今の規格に適用するよう変更してもらいました」
浅野自動車の浅野武夫さんといえば、TS(特殊ツーリングカー)レースからグループAやフォーミュラトヨタを経て、現在もスーパー耐久への参戦など、ドライバー&メカニックとして大活躍のハコ使いのレジェンドである。じつは浅野さんも、下平さんに以前からこのJCCAレースへの参戦を勧めていたひとりだそうだ。
「浅野自動車さんでの整備が終わってからのメンテナンスは、筑波サーキット近くのコシミズモータースポーツで。AE86のペダルに変更してもらったりしたのですが、やっぱり20年乗っていましたからね、しっくりきます。オリジナルのオルガンペダルはどうも(笑)」
Sクラスに初参戦で見事5位!
AE86レース時代のライバルであった松下さんと、35年前に一緒に富士ジャンボリーを観戦した山口さんが見守るなか、JCCAのSクラスレースに初参戦で見事5位という成績を残した下平さん。次なる目標を聞いてみた。
「初戦で入賞するとは出来過ぎでしたが、やはりレースなので上位を目指したいですね。リザルトを見ると他の車両よりトップスピードが10km/hも遅いので、キャブレターのセッティングを見直して、トップスピードが互角になったらタイヤサイズを変更、コーナリングスピードやブレーキングを煮詰めていきたいです。まだまだやること沢山、それだけ伸びしろもありそうで、人生あがりのレースを楽しませてもらいますよ」
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