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ヒュンダイ「エクセル」が日本で150台だけ正規販売されていた! ジウジアーロデザインで中身は三菱「ミラージュ」というクルマとは【珍車百景】

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TEXT: 高桑秀典(TAKAKUWA Hidenori)  PHOTO: 高桑秀典(TAKAKUWA Hidenori)

  • ヒュンダイ エクセル:兄弟車となる4ドアセダンのプレストのほうが先にデザインされたが、先代にあたるポニー2の成功を引き継ぐために5ドアハッチバックのエクセルが先に生産された
  • ヒュンダイ エクセル:フロントのデザインが初代の日産 マーチのようで、リアはジウジアーロのコンセプトカー、アッソ・ディ・ピッケやアッソ・ディ・フィオーリを彷彿させる
  • ヒュンダイ エクセル:三菱 ミラージュのメカニズムが使われていたが、韓国車なので三菱オートプラザ店にて販売された正規ディーラー車も左ハンドル
  • ヒュンダイ エクセル:リアのハッチを開けると使い勝手のいいラゲッジスペースが現れる。趣味車であり、実用車でもあるという使い方を楽しめるはず
  • ヒュンダイ エクセル:アメリカ市場でも販売されたので、ドアミラーには英語の注意書きがある。ヨーロッパ仕様も用意されていたといわれている
  • ヒュンダイ エクセル:1.3Lと1.5Lが設定されたが、日本で販売されたのは後者の方
  • ヒュンダイ エクセル:ワンオーナー車ということもあり、ボンネットの裏に貼られた昭和53年排出ガス規制適合車のステッカーも残っている
  • ヒュンダイ エクセル:取扱説明書が残っていることからも、このクルマの素性のよさが窺い知れる。三菱商事が150台限定で輸入したのだ
  • ヒュンダイ エクセル:実際にどのぐらいの台数がデリバリーされたのか分からないが、150台限定車のために本気モードの取扱説明書が用意された
  • ヒュンダイ エクセル:漫画に出てきそうな可愛いイラストで各部の取扱方法が説明されているので分かりやすく、読み応えもある
  • ヒュンダイ エクセル:カセットテープを縦方向でカチッと収納できるように専用ボックスにフィンがある。時代を感じさせるディテールだ
  • ヒュンダイ エクセル:パワーウインドウのスイッチは横方向で、細かいところまでデザインされているな、と一々感心できる
  • ヒュンダイ エクセル:1985年に5ドアハッチバックとしてデビューし、翌年にエクセル スポーティと呼ばれる3ドアハッチバックが追加設定された
  • ヒュンダイ エクセル:じつは1988年に150台だけ三菱商事が輸入して販売していた

ヒュンダイの発展を支えた韓国のベストセラー車

あまたのモデルが存在するクルマの世界にもまだまだ深遠な世界が残っていて、いわゆる珍車、激レアカーはまさしく深海魚のような存在。お隣、韓国がかつて生産していた乗用車の中にも、知る人ぞ知るとっておきの1台があります。それが今回ご紹介する、ヒュンダイ(現代自動車/2020年以降の日本語表記はヒョンデ)の「エクセル」です。

デザインはジウジアーロでメカニズムは三菱 ミラージュ

日本ではあまり知られていないことだが、韓国最大手の自動車メーカーであるヒュンダイ(現ヒョンデ)が世界的に有名な工業デザイナーのジョルジェット・ジウジアーロ(イタルデザイン)にオーダーして完成したクルマの第1弾は、1975年にデビューした「ポニー」というモデルであった。1982年にはフェイスリフト版の「ポニー2」も登場している。

ヒュンダイ「エクセル」は、このポニーの後継モデルとして1985年にリリースされ、韓国では当初「ポニーエクセル」と名乗っていた。韓国初の前輪駆動乗用車となったエクセルのボディタイプは5ドアハッチバックで、後に「プレスト」と呼ばれた4ドアセダンと、「エクセル スポーティ」という車名の3ドアハッチバックが追加設定された。

いずれもメカニズムは三菱「ミラージュ」をベースとし、1.3Lまたはと1.5Lエンジンを搭載。これは三菱製のオリオンエンジンであった。

韓国自動車史上初の海外進出成功作

ヒュンダイは1986年にエクセル/プレストで初めてアメリカ市場に進出し、北米ではセダン/ハッチバックともエクセルというモデル名で統一して販売した。以前にもポニーなどが海外進出を果たしたことがあったが、それほど売れなかったので、エクセル/プレストが韓国自動車史上初の海外進出成功作となった。

マイカーブームが到来していた韓国においてもエクセル/プレストは人気モデルとなり、多くのユーザーが愛用。ハッチバックよりもセダンのほうがたくさん売れたので、1989年に登場した2代目エクセルはセダンが基本モデルとなった。

日本でも150台だけ三菱オートプラザで正規販売

東京・町田の「スウィンギンモータース」で発見したのは、1988年に開催されたソウルオリンピックのときに三菱商事が150台限定で輸入したうちの1台で、三菱オートプラザ店にて販売された正規ディーラー車だ。

どうやら日本では諸般の事情でエクセルという車名を使えなかったようで、「ヒュンダイ 1.5 XL」というのが国内での正式名称となる。XL=エクセルということだろう。ソウルオリンピック開催記念車なので、1988年式だ。総走行距離は5万kmで、まさかのワンオーナー。奇跡のサバイバーなのだ。

外観のディテールをよく見るとジウジアーロっぽさが満載。中身は日本車という韓国車だが、アメリカ市場のことも気にしていたのでどことなく北米車っぽさもあるという、無国籍感が魅力となっている。熱心なジウジアーロ・マニアはもちろん、ちょっと外したオシャレなクルマを探している若者にも刺さりそうな、ユニークさなら天下一品のクルマといえるだろう。

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  • 高桑秀典(TAKAKUWA Hidenori)
  • 高桑秀典(TAKAKUWA Hidenori)
  • 本業はフリーランスのライター兼エディター。1998年に買ったアルファ ロメオGT1600ジュニア(通称:水色号)を現在も愛用しており、すでに総走行距離が30万8000kmオーバーとなっている(2022年4月中旬現在)。クラシックカーラリーに水色号で参戦取材することがライフワーク(?)となっており、群馬をホームタウンとして開催されている「スプレンドーレ」では、柴犬を“ワン・コドライバー”、秋田犬を総監督として挑んでいる。全国各地に水色号でお邪魔しているので、これからも走行距離が順調に伸びる予定。
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