いざというときのために覚えておきたい対処法
誰の身にも起こり得る違反や事故などの交通トラブル。気が緩んだ瞬間にうっかり違反することもあれば、自分に過失がないもらい事故に遭う可能性もあります。反則金を払うだけではなく裁判所から呼び出され、保険会社と何度もやり取りし損害賠償額を交渉するなど、慣れ親しんだ日本であっても「事後処理」は非常に面倒です。それが海外をレンタカーで旅行中の出来事となれば、言葉や文化の壁もあり煩わしさは国内の比ではありません。もちろん国によって多かれ少なかれ違いはあるものの、レンタカーを使う日本人の旅行者が多いアメリカを例に、筆者が経験したエピソードを交えつつ解説します。
パトカーや白バイに捕まった場合はどうする?
まずは交通違反でパトカーや白バイに捕まった場合。以前は交通裁判所のような公的機関に赴く必要があったが、今はアメリカをはじめ多くの国がオンライン決済を採用している。
違反切符に記載されたサイトにアクセスし、速やかにカード決済してしまうのがベターだ。筆者はオンライン決済が始まる数年前、スピード違反で捕まった経験がある。スクールゾーンで交差点を過ぎるたび制限速度が下がる難しいエリアで、隠れて見張っていた警察に停止を命じられたが旅行者だと分かったら、ごく軽微な違反だったことも影響したのか「気を付けてね」だけで放免。英語が苦手な自分に「何日までどこどこの裁判所へ行って……」と説明するのが面倒だったと推測しているが、オンライン決済が可能となり翻訳アプリが著しく発展した現在であれば、そんな甘い話にはならない気もする。
オービスを光らせるとどうなる?
もうひとつはオービスのような無人の機器による取り締まり。運転しているのがレンタカーならその会社を通じて本人に、また知人のクルマであれば所有者に宛ててチケットが届く。自分は初めて渡米した20年ほど前に日本でいうETCのような機器を使わず、専用レーンを知らずに走ったのがカメラで撮影されており帰国の数週間後、レンタカー会社の日本にある代理店からビックリする額の請求書が届いた。
どうやら現地のレンタカー会社が立て替えて支払っているようで、金額は真っ当に通行すれば3ドルのはずが罰金はなんと200ドル。決して間に入った会社が上乗せしているわけではなく、同封されたチケットのコピーを見るとまったく同じ額で、勉強代と考えすぐ支払い、以降は同じミスを犯していない。
停止を命じられたら窓を開け両手をハンドルの上に置く
なお運転中に停車を命じられたら速やかにクルマを停め、窓を開けエンジンを切ってから両手はハンドルの上に置く。間違ってもポケットやバッグに手を突っ込んだり、勝手に外へ出たりしないよう気を付けて欲しい。
知ってのとおりアメリカは銃社会だ。警察官だって得体の知れない人を相手にするのは怖いし、万が一に備えておくのは職務としても人としても当然。くれぐれも誤解を招くような行動は慎もう。
事故にあったときの対処法とは
続いては事故に遭ったときの対処法。といっても警察に連絡するのは日本と同じで、自分の名前やアクシデントが起きた場所、ケガ人の有無などを正確かつ簡潔に伝える。併せて契約書に記載されているレンタカー会社にも。あとは相手の名前や連絡先などを控え、二次災害を招かないよう注意して待つ。
軽微な事故なら警察に調書を作成してもらってから、レンタカー会社へ車両を返却して担当者の指示に従い、自走が不能ならレッカーによる回収を待つしかない。ここで大きな壁となるのが言葉の問題だ。前述したとおり今は翻訳アプリの精度がかなり高く、それらを駆使すれば意思の伝達は比較的カンタンだ。
レンタカー会社によってはオプションで日本人オペレーターの通訳サービスがあるので、英語に自信がない人は「転ばぬ先の杖」と割り切り加入しておくほうが安心だろう。また海外で運転している最中の事故は旅行保険の対象外であるケースが大半なので、レンタカーを借りるときにLDW(車両保険)やSLI(追加自動車損害賠償保険)など、どんな保険に入っているかチェックし必要があればその場で加入するのも忘れずに。
考えたくはないけど連絡できないほどのケガや、意識不明になる可能性も決してゼロではない。そんな最悪の事態に備えパスポートなどと一緒に、日本の緊急連絡先を記したメモを持つのもアリだ。
圧倒的な自由が魅力な海外レンタカーの旅、一番危険なのは慣れて気が緩んだ頃。ここは日本じゃないという意識をつねに持ちながら、ツアーじゃ味わえない気ままな旅を楽しんで欲しい。