日本には17台が正規輸入された
2024年7月12日、ボナムズ社がイギリスで開催したグッドウッド フェスティバル オブ スピード オークションにおいてポルシェ「911 GT2」が出品されました。出品車は1995年9月28日に新車として日本でデリバリーされたモデルで、日本には17台の同モデルが正規輸入されています。
911 GT2はマクラーレンF1に次ぐモデルだった!?
ボナムズ社が1995年式のポルシェ「911 GT2」(タイプ993)に掲げたエスティメート(予想落札価格)は110万ポンド〜150万ポンド(邦貨換算約2億1678万円〜2億9561万円)。結果から報告すると、この911 GT2は落札されることなくオークションを終了しているが、それでも予想落札価格がここまで高く設定されているのには大きな驚きがあった。それにはさまざまな理由があるだろう。
1994年のエッセン・モーターショーでまずプロトタイプが発表された同車は、空冷式の水平対向6気筒エンジンにツインターボチャージャーを組み合わせている。空冷ターボエンジンを搭載したロードカーとしては最終進化型ともいえるべきもので、それは当時の自動車専門誌においては、下記のように評価されている。
「経験豊富なドライバーにとって、911 GT2はマクラーレンF1に次いで最もエキサイティングなクルマである可能性がある。そしてフェラーリF40スタイルのパワーを完全に洗練されたパッケージで提供しており、F40と同様、限界走行をうまくこなすのは非常に魅力的な挑戦だ。だがその一方で911 GT2は熱狂的なファンが望むようなスポーツ走行を可能にする一方で、おばあちゃんでも近所の店まで運転できるほどおとなしいクルマでもある」
最高速度は約301キロに到達する
ロードカーとはいえ、その開発の目的はレースへの参戦にあった911 GT2。その系譜は高性能モデルの数々を辿って、1974年の伝説的なグループ5車両、「911 カレラターボ」にまでさかのぼることが可能だ。その後グループ4レース用の「934」、さらにグループ5とIMSAに投じられた「935」、1986年には「959」のレーシングバージョンである「961」も誕生した。
911 GT2もまたプロダクション・スポーツカーレースのGT2カテゴリーに認定されたことにちなんでネーミングされたことは言うまでもないところである。リアに搭載される3600ccの空冷水平対向6気筒ツインターボエンジンの最高出力は、デビュー当初は430psの設定だったが、1998年のマイナーチェンジではその数字は450psへとアップデート。6速MTとの組み合わせでの加速は目を見張るほどで、430ps仕様でも0-100マイル(約160km/h)加速は7.2秒、最高速は187マイル(約301km/h)に達した。参考までに当時この記録を上回るのはマクラーレンF1が唯一の存在だった。