速さよりもていねいな運転が要求される新しいモータースポーツ
ここ数年、日本国内各地で開催されるようになった「オートテスト」は、最も新しく、最も気楽なモータースポーツ。JAF(日本自動車連盟)も積極的に推進しているそうです。そんな折、群馬県安中市で2024年11月17日に開催された「JAFオートテスト in 新島学園」では、JAF戦としては初めてクラシックカーを対象としたクラスが新設されるとのことで、現代車によるモータースポーツにはいささか疎い筆者も、あらためて訪ねてみることにしました。
マイカーでそのまま出場OK! 英国発祥のオートテストとは?
日本には2010年代中盤から導入されたといわれる「オートテスト」は、英国発祥のモータースポーツ競技とのこと。ほかのモータースポーツと比べて、走行時の速度が高くならないようにルールでしっかり規制されているため、ロールバーなどのレース専用装備や競技ライセンスはもちろん、ヘルメットやグローブも不要。イベント会場まで乗ってきたマイカーで、そのまま出場できるのが特徴という。
また、1台のクルマを2人で分けてエントリーすることも可能なことから、カップルで参加するエントラントも見受けられる。
オートテストは、サーキットレースのように着順を競ったり、ジムカーナやラリーのように走行タイムの優劣を競ったりするのではなく、あくまで「運転の正確さ」が競われる新しいモータースポーツ。パイロン(マーカー)を並べて設定したコースを1台ずつ走り、パイロンに接触したり、コースを間違えたりするとペナルティとしてタイムに加算される。
そして、減点が最も少なかった人が最高得点を獲得することから、特殊な運転技術やスピードを出すことよりも「ていねいなドライビング」が要求される。
近年、この新しいモータースポーツを積極的に推進しているJAFでは、各支部ごとに年1回の開催を推奨しているそうで、2024年は関東だけでも約20会場のオートテストで熱戦が繰り広げられたとのこと。まだシリーズ戦となるには至っていないものの、すでに複数のJAFオートテストを転戦している猛者もいるそうだ。
JAF戦として初めて「クラシック」クラスが設定
このほどJAF群馬支部により開催されたJAFオートテストは、群馬県安中市のミッション系名門校、新島学園中等部・高等部の駐車場が舞台。この会場では、3回目を迎えるとのことである。
JAFのホームページでも「軽自動車からミニバン、もちろんスポーツカーも、どんなクルマでも大歓迎」と謳われているように、当時の朝、パドックとして使われる駐車場を訪れると、新旧の軽自動車からスポーツタイプのクルマまで、あるいは国産車/輸入車を問わず、40台以上のエントリー車両が集結していた。
それらのクルマたちのなかにはモータースポーツ志向にモディファイされているものも多いが、その数と同じくらいに「どノーマル」なクルマたちも見受けられる。
JAFオートテストのクラスは、改造および無改造の軽自動車、MT車、AT車、レディース、そして猛者たちの揃うエキスパートなどに分けられるが、筆者が今回訪れた最大の理由は、じつはご自身が生粋のクラシックカー愛好家でもある新島学園理事長のアイデアを受けて、1980年以前に生産されたクルマによって編成される「クラシック」クラスが設定されたことである。
この新クラスは、JAF戦では初の試みということもあって、まだエントリー台数は4台と少なめながら、ポルシェ「911カレラ」やモーリス「ミニ クーパーMk-1」、そしてデ・トマソ「パンテーラ」(!)にメルセデス・ベンツ「ウニモグ」(!)という、個性あふれる顔ぶれがそろうことになった。