現役のクラシックカーレース仕様BMWの価値は?
クラシックカーによるサーキットレースが盛んになって久しいですが、とくにアマチュアレーシングが盛んな英国では、往年のレーシングカーたちがレストモッド的な改造を受けつつ、バリバリの現役として参加しています。そしてそれらのマシンたちは、即戦力としてレースにエントリーしたい一部のレース志向エンスーたちによって、ニッチ的なマーケットにおける商品となっているようです。今回はその1例として、英国のアイコニック・オークショネアーズ社が、2024年8月下旬にシルバーストーン・サーキットにて開催されたイベント「Silverstone Festival」のオフィシャルオークションに出品した、クラシック・ツーリングカーレース仕立てのBMW「M5仕様」をピックアップしお伝えします。
M5を名乗りつつも、その実は520iベースのレーシングカー
アイコニック・オークショネアーズ社は、2011年に「シルバーストーン・オークション」として創業。2023年8月に現在の屋号に改組して再スタートを図ったという、自動車オークションビジネス界では比較的新興勢力ともいうべきオークション会社である。
とくに「シルバーストーン」時代からレーシングカー/ラリーカーなどの競技車両のビジネスを積極的に展開してきたようだが、今回の「Silverstone Festival」オークションに出品されたレーシング「M5」は、その最たる1例といえるだろう。
しかし、今回のオークション出品車は「M5」を名乗っているものの、じつは1987年型BMW E28系「5シリーズ」を高度にレースチューンしたM5「仕様」車。ただし、BMW界ではよく知られたレース車両で、数多くの雑誌や記事で紹介されてきた。
もともとは、イギリス国内で「D758 SGK」というナンバーで登録されていたE28系「520i Lux」(英国市場で用意された豪華版)をベースとするこの個体は、驚くべき変貌を遂げたことになる。現在では、E34系M5用の「S38」型直列6気筒DOHC 24バルブエンジンを搭載し、360bhpという自然吸気としては驚異的なパワーを発生するまでにチューンアップされている。
サーキットにおける機能は並外れたレベルに仕上がっている
もちろん現在では、たとえイギリス国内であっても公道走行は認められないレーシングスペックとなっており、公道での合法性には欠けるものの、サーキットにおける機能は並外れたレベル。そして力強さと見事なルックスが見事に融合している。
エクステリアでは、カーボンファイバー製のボンネットとトランクリッド、グループ5仕様のアーチ、オールステンレス製パネルが装備されている。いっぽう足まわりではGAZ社製コイルオーバー、E34 M5用LSDも装備。ワグナー・チューニング社製「ET11」の巨大な2ピースアロイホイール(フロント9.5J×16、リア10.5J×16)には、前245/45-16と後265/45-16のレーシングタイヤが装着され、グリップとトラクションは驚異的なものと主張されていた。
さらに特筆すべきは、2003年のシルバーストーン「BARC選手権レースデー」プログラムの表紙を飾り、『Total BMW』誌の2004年8月号と『BMW Car Magazine』誌の2017年3月号にも登場したこと。また近年でも2023年1月発売の『Total BMW』誌では、5ページにわたって特集が組まれ、ハイパフォーマンスカーの世界でも傑出した存在であることが証明されたという。
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