日本では圧倒的な人気を誇るプリウスだが…
日本で絶大な人気を誇るトヨタ「プリウス」は、2023-2024の「日本・カー・オブ・ザ・イヤー」にも輝いた1台で、幅広い層から支持されています。その一方で、ドイツ在住の池ノ内みどりさんによると、ドイツ・ミュンヘンでプリウスは年に2~3回見かける程度とのおと。その理由はドイツの道路事情や価格にありました。
ドイツでは日本車が人気?
昨今は猛暑が続いた後に突然寒くなるというパターンが増えて、今年も秋らしい日はほんの少ししかなかったミュンヘンです。街中のあらゆる所に落ち葉の山ができていて、おいしい焼き芋が食べたくなりますね。ドイツには日本のようなねっとりホクホクのあま~いサツマイモは残念ながらありません。
先日、知人から「ドイツでは日本車が人気なんでしょ?」というような質問を受けました。じつは似たような質問は年に何回か受けるのですが、なんだかフシギですね。ドイツにまだ来たことがない知人は、ドイツ車に交じって数多くの日本車がドイツの街を駆け抜けている姿を想像しているようです。メルセデス・ベンツのタクシー業界からの撤退で、トヨタ車のタクシーが一気に増えたのでそれは多く見ますが、じつはそんなに日本車を多く見かけることはありません(地域によって差はあるかと思います)。
ミュンヘン市北部にはBMWの本社や工場、大型ショールームのBMW Weltやミュージアムに加えて巨大な研究開発施設もありますから、BMWの城下町であるミュンヘンは必然的にBMWが多くなりますし、親子や親戚ともにBMWで働いている方もおられますし、地元で作られたクルマを、愛着を持って購入する市民という構図は日本と同じではないでしょうか。
プリウスがなぜドイツで不人気なのか
ドイツでの日本車は安い、壊れにくいというイメージが継続しているのではないかと感じていますが、昨今のインフレや酷い円安の中でいったい日本車の新車価格はどれくらいするのだろう? とちょっと興味が湧きました。
ドイツには数多くの日本車が輸入されていますが、必ずしもすべてのモデルがドイツで購入できるわけではありません。日本では若者からシニアに絶大な人気を誇るトヨタ「プリウス」は、日本の街では見かけない日はないというくらいに数多く走っていますよね。しかし、残念ながらドイツではほとんど見かけることはなく、人気車種とは言いがたいでしょう。
古くからの友人であり、トヨタの正規販売店を営むレーシングドライバーで、スーパーGTなどで活躍したドミニク・ファーンバッハくんに、プリウスがなぜドイツで不人気なのかを聞いてみたことがありました。彼はスーパーGTのレースのために日本に何年も通っていましたし、大の日本車好きでコレクターでもありますので、日独の視点で話してくれたことをよく覚えています。
売れない理由はドイツの道路事情にあり
トヨタの誇るハイブリッド車はドイツ以外の国では非常に利点も多いのですが、ドイツといえばアウトバーンがありますから、たとえば私のように市内ではほとんど運転せず、もっぱらアウトバーン専門というドライバーにはかなり厳しいのです。
昨今は工事エリアや危険区間には制限が数多く増えており、速度制限解除区間というのは年々減ってはいますが、それでも心地よく踏める区間が存在するというのは嬉しいものです。ハイブリッド車でアウトバーンの流れを止めないように130~160km/hあたりで走行をし続けると、とんでもなく燃費が悪いうえ、CVTはアウトバーンの高速運転の際には非常にうるさいというお客様からの声が入ると、ドミニクは言います。
街中走行には最高のパフォーマンスを発揮するプリウスですが、アウトバーンを多く走るユーザーからは不人気なのだとか。ただ、隣国には全て制限速度があり、たとえばフランスやイタリアは130km/h、ベルギーは120km/hというようにそこそこの速度しか出せないので、ドイツ以外でアウトバーンを走る場合もほぼ問題ないと思います。