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奇跡の1台! 三菱「ギャランVR-4 RS」のグループN仕様が残っていた!…ラリーアートのヘリテージとしても重要な1台とは?

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TEXT: 武田公実(TAKEDA Hiromi)  PHOTO: Iconic Auctioneers

  • 4万5000ポンド~5万ポンド(当時のレートで約890万円〜約990万円)で現在も販売中の三菱「ギャランVR-4 RS Gr.N」(C) iconicauctioneers
  • 4万5000ポンド~5万ポンド(当時のレートで約890万円〜約990万円)で現在も販売中の三菱「ギャランVR-4 RS Gr.N」(C) iconicauctioneers
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アジアのラリーで活躍したグループNのギャランVR-4 RS

国産ヤングタイマー・クラシックカーたちは、今や国際クラシックカーマーケットにおいても主役級の一角を占めているかに見えます。そして海外のオークションにおいて、日本国内でも希少なヒストリーつきコンペティション車両が出品される事例も、とくにグループA時代のラリーカーなどでは頻発するようになっているようです。今回はその1例として、英国のアイコニック・オークショネアーズ社が、2024年8月下旬に英国シルバーストーン・サーキットにて開催されたイベント「Silverstone Festival」のオフィシャルオークションに出品した三菱「ギャランVR-4 RS」のFIA「グループN」車両を俎上に乗せ、注目のオークション結果についてお伝えします。

東南アジアのラリーにおける覇権を目指して製作された3台のうちの1台

2024年夏、アイコニック・オークショネアーズ「Silverstone Festival」オークションに出品されたFIA 「グループN」仕様の三菱「ギャランVR-4 RS」は、現在に至るまで初代オーナー兼ドライバーによって所有され、魅力的なコンペティションストーリーを持つ興味深い1台。

もともとはインドネシアを拠点としてトップレベルのラリーに参戦するグループNマシンを求めていた三菱自動車と、三菱のスポーツ部門に相当する「ラリーアート(RalliArt)」のサポートにより、インドネシア国内選手権に参戦する「グダン・ガラム・ラリーチーム」へと、1991年シーズンに向けて供給された個体とのことである。

1991年シーズンおよび1992年シーズンの選手権期間中は、グダン・ガラムおよび三菱の資金援助を受け、ジャカルタを本拠とするプロのラリー/レースワークショップが予算の制限なくマシンをメンテナンスしていた。そしてラリー参戦にあたっては、地元のメカニックとラリーアートのファクトリーメカニックのコンビがサービスを担当。パーツはラリーアートから優先的に供給され、ラリーアートのディーラーチームが費用を負担する。グループN仕様ギャランVR-4 RSのサポートにくわえ、ラリーアート本部から供給された2台のグループA仕様ギャランを走らせた。

アイコニック・オークショネアーズ社が調べたところによると、この車両は「ラリーアート・アジア」によってグループN仕様に仕上げられた3台のうちの1台であり、当時のFIAレギュレーションの許す限りの改造が施されていた。燃料タンクのみがグループN仕様とされ、インテリアは工場出荷時のグループA仕様に準拠し、必要に応じてトリムされた状態で設えられていた。

今回のオークション出品者でもある初代オーナーは、1991年~1992年のアジア・パシフィック・ラリー選手権でこのマシンをドライブし、多くのグループAマシンを破りつつクラス優勝を果たし、アジアではもっとも成功したグループNギャランとなった。

しかし「ランサーエボリューション」の登場により、この車両は現役を引退。そののちは長らく手付かずのままであった。当時ラリー仕様のギャランVR-4の多くがメカニカルパートを取り外し、ランサーエボリューションにコンバートするためのドナーカーとされてしまっていたことから、結果としてとても希少な1台となったのだ。

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