酒気残り運転にご注意を
忘年会、新年会のシーズンが始まると、どうしても普段よりお酒の量も多くなりがち。「思わず深酒をしてしまったな~」という日でも、翌朝、普段通りハンドルを握ってしまうことはないでしょうか? しかし、深酒をしたときは一晩寝たぐらいではお酒が抜けていない可能性があるので注意が必要です。ここでは酒気残り運転を防ぐポイントをお伝えします。
酒気残りとは?
日本アルコール関連問題学会では、「飲酒運転を予防するため、1時間に分解できるアルコール量は4g」と規定していて、酔いの自覚が薄いにもかかわらず、体内に酒が残っている状態のことを「酒気残り」と呼んでいる。
アルコール量4gといわれてもピンとこないだろうが、缶ビール1本(500mL・アルコール度数5%)のアルコールが分解され、体から完全に抜けるのに必要な時間は、約4時間が目安だそうだ。日本酒1合(180mL・アルコール度数15%)やワイングラス1杯(180mL・同14%)、チューハイ1杯(360mL・同7%)なども、分解時間は約4時間で、これらを「1単位・4時間」としてまとめている。
より細かく言うと、アルコールの分解速度は、分解にかかわる酵素の遺伝タイプ等により個人差が大きいのだが、一般的に分解酵素が正常に働く場合、1時間で体重1kgにつき0.1g程度といわれている。
睡眠時はアルコールの分解が覚醒時より遅くなる
たとえば体重60kgの男性が30分程度でお酒を飲んだ場合、アルコールが体内から消失するまでに1単位(ビール中ビン1本)なら、約3~4時間。2単位なら約6~7時間、3単位なら約9~10時間かかる計算だ。ビールだと大ジョッキ(700~800mL)を2杯も飲めば、3単位! つまりアルコール分解に9~10時間かかるので、一晩寝たぐらいではまだ体内にアルコールが残っていると考えたほうがいい。
しかも困ったことに、睡眠時は肝臓などの機能も落ちるため、アルコールの分解が覚醒時より遅くなることもわかっている。実際、過去には焼酎水割り3杯を1時間弱で飲み、約7時間30分経過後に酒気帯び運転で検挙された例もあったぐらいだ。
忘年会の1次会で、ビールの中生3杯、焼酎をお湯割り(5:5)で2杯(約200mL)飲んだとすると、飲酒量は5単位。お開きになって帰宅するまでに、すでに1単位分のアルコールを分解していたとしても、残りのアルコールは4単位分。それが体内から消失するまでに13時間以上かかる計算になる。そうなると帰宅後、0時頃からぐっすり寝たとしても、少なくとも翌日の午前中はアルコールが残っているという計算になる。
飲酒終了後から12時間以上は運転を避けよう
このことから、「酒気残り」運転を避けるために(個人差もあるだろうが)、宴会終了時点=飲酒終了後から12時間以上は、クルマの運転をしないことをひとつの基準にすることを提案したい。逆にいえば、合宿や出張などで深夜まで飲んで翌朝早くクルマで出発するというのは、かなり危険なことだということになるので、覚えておいてほしい。
市販のアルコール検知器を活用してクルマに乗る前にチェックするのも有効な手だが、一晩経って二日酔いなどの自覚症状がなかったとしても、少しでも不安があるようなら、絶対に運転はしないこと。飲み会に出席したら、半日(12時間以上)はクルマのハンドルを握らない。これが「酒気残り」運転を防ぐ最大のポイントになるだろう。