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「運転が上手くなる」スバル「WRX S4」のチューンは結果として疲れない! STIの最新フレキシブルパーツ群を試しました【デモカー試乗】

スバル WRX S4 STI Sport R EX STI Performance:サーキットではなく、普段乗りやワインディングでこそ、その性能を発揮して変化を感じ取ることができる

STIのWRX S4デモカー2台を乗り比べ

STI(スバルテクニカインターナショナル)はその名のとおり、スバル直系のカスタマイズパーツブランド。純正のクルマの良さをさらに引き立てるパーツを中心にリリースしています。今回はスバル「WRX S4」のデモカー2台に試乗し、STIの考える「運転が上手くなるクルマ」とはどんなものなのか検証します。

「運転が上手くなるクルマ」のための肝は「内輪の活かし方」

STIが目指すもの、それは「運転が上手くなるクルマ」。これはどういうことかと言うと、ドライバーの意思が的確に伝わればもっとクルマは運転しやすくなると考え方だ。

では、どうすれば運転しやすくなるのか? それは微小舵角からクルマが反応してくれることであり、そのためには内輪をいかに使うかが重要だという。

いきなりそんなこと言われても……、となるのは当然のこと。

つまり、じつはクルマはハンドルを切ってからクルマが向きを変えるまでに微妙にタイムラグがある。これはどんなクルマでもわずかにあるもので、この無反応の時間は無意識に怖さを生む。筆者も積載車に乗ったときに、トラックはハンドルを小さく切ってもあまり反応がなく、ある程度切らないと向きが変わらないので、少しずつハンドルを切ったときに「え、このまま真っすぐ行っちゃうの?」というドキドキ感に襲われたことがある。

これの小さなバージョンが乗用車でも起きている。

ハンドルを切る→反応がない→もっと切る→急に向きが変わった→切りすぎた→ハンドルを戻す→戻しすぎたもっと切る、というのを繰り返していて、無意識にハンドルを切ったり戻したりしている人も多いのだ。

そこでSTIはその現象を防ぐために、ハンドルを切ったらできるだけタイムラグなくクルマが反応することを目指す。そこで行き着いたのが内輪の活かし方だ。

クルマは曲がるときにロールして外輪が主に仕事をする。しかし、それに頼ると外輪が潰れてからクルマがグイッと向きを変えるようになり、ギクシャク感につながる。そこで内輪の反応を先行させ、応答遅れのない挙動を目指している。

フレキシブルパフォーマンスホイールは前後それぞれ剛性を最適化

それらを実現するべく、スペシャルなパーツを投入された限定車がスバル「WRX S4 STI Sport #」である。2024年1月に500台限定で発売されたスペシャルモデルだ。

STIではボディを補強して固めるのではなく、ボディやサブフレームにあらかじめ力を加えておいて、応答遅れを防ぐフレキシブルパーツ群を提案してきた。それらに加えてWRX S4 STI Sport #に採用されたのが「STIフレキシブルパフォーマンスホイール」だ。

これはホイールの剛性を前後それぞれに合わせて最適化したもので、同サイズのホイールながらフロント用とリア用がある。フロントホイールはタイヤがたわみやすく、接地面積を増やす。リアホイールはタイヤのサイドウォールのたわみが小さくなるようにして反発力を引き出す。

乗ってみると、たしかにフロントタイヤはしっとりと路面に接地していることが伝わる。路面に柔らかく接していて、グリップを引き出している。低速からクルマがスッと向きを変えてくれて乗りやすい。荒れた路面で攻め込んでみてもグリップがスッポ抜ける瞬間がない。タイヤが路面を捉えている感が伝わる。

リアタイヤはサイドウォールが潰れずにレスポンスしてくれるので、向きを変えるときにリアタイヤが反応してくれてスムーズに向きが変わっていく。

ごく微小なハンドル操作からクルマが反応してくれる

WRX S4 STI Sport #はすでに完売となっているが、もう1台のデモカーである「WRX S4 STI Sport R EX STI Performance」は、カタログモデルに「フレキシブルタワーバー」などのSTI市販パーツを装着したもの。

フレキシブルタワーバーは左右バーの中心がピロボール化されていて、コーナリング時には踏ん張るが路面からの外乱の力は逃がすように設計されている。

「フレキシブルドロースティフナー フロント」はクロスメンバーをスプリングによって引っ張り、ブッシュによるヨレを消しておくことでハンドル操作に対する反応を高めてくれるパーツ。「フレキシブルドロースティフナー リア」はフレーム自体にテンションをかけることでシャシーのしなりを補正し、操舵に対してクルマの反応が良くなる。

こうしたパーツを装着することで、ハンドル操作をごく微小にしたところからクルマがわずかに反応してくれることが伝わる。それは決して大げさに反応するピーキーなものではなく、遅れがなくリニアに反応してくれるものだ。

そのためワインディングロードに見立てたクローズドコースで思い切ったスピードで進入していっても、不安感なく向きを変えていける。サーキットではなく、普段乗りやワインディングでこそ、その性能を発揮して変化を感じ取ることができるパーツ。それは疲労の軽減にもつながり、運転の楽しさもアップしてくれる。装着することによるデメリットがない優れたパーツなのだ。

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