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フェラーリ「308GTB」の相場は下降気味!?…1000万円台で手に入っていた跳ね馬代表の今後の相場に注目です! スチールボディも侮れません

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TEXT: 武田公実(TAKEDA Hiromi)  PHOTO: Bonhams

2023年にフルレストアを行っている

このほど、ボナムズ「Goodwood Revival Collectors’ Motor Cars and Automobilia 2024」オークションに出品されたフェラーリ308GTBは、1979年式の英国仕様。今回の出品者でもある現オーナーが1988年から所有し、2004年に至るまでの夏の間、定期的に使用されていたというヒストリーを持つ個体である。

それ以来は車庫保管されていたというこのフェラーリは、2023年にフルレストアされ、完成後は「最小限の走行距離」しか走っていない。しかし、エンジンは6000マイル(約9600km)前に、トランスミッションは同じく7000マイル(約1万1200km)前に大規模なオーバーホールを受けているという。これら一連のリビルドには約12万ポンドの費用がかかり、工程のすべてはインボイスと写真によって記録されている。

長い間、熱心なオーナーによって大切に維持されてきたこのフェラーリには、名門「マラネッロ・コンセッショナリー」社との間で交わされた販売・納車、スペックに関する書類や、1979年から1988年までの数多くのサービス請求書など、膨大な履歴が残されているほか、もちろん現オーナーに向けて発行された1988年以降の請求書も揃っている。

現状のコンディションは「エクセレント」で、スペースセーバーでないフルサイズのスペアホイール、新品のインテリアフロアマット、継続取得から間もない「MoT」車検証および、英国内の登録履歴を証明する「V5C」シートも添付されていた。

308GTBヴェトロレズィーナに迫るエスティメートが提示されたが……

同じ308GTBシリーズの中でもFRPボディ時代の通称「ヴェトロレズィーナ」は最もマーケット相場価格が高く、とくに昨今ではディーノ246GTの高騰に引き上げられるかのように、3000万円超えも珍しくはなくなっている。

そのかたわら、スチールボディに独ボッシュKジェトロニックを組み合わせた308GTBiは比較的安価なことが多い。そして、今回のオークション出品車のようなスチールボディ+キャブレター仕様の308GTBと、32バルブヘッドを与えられた最終型308GTBクアトロバルボーレがそれに次ぐ相場価格で取り引きされているようだ。

そんな相場観のあるなか、ボナムズ社の営業部門は今回のオークション出品にあたって8万ポンド~12万ポンド(邦貨換算約1560万円〜約2360万円)という、ヴェトロレズィーナの相場価格にも迫りそうなエスティメート(推定落札価格)を設定していた。

ところが実際の競売では出品サイドの規定した「リザーヴ(最低落札価格)」には到達せず、残念ながら「流札」に終わってしまったようである。

たしかに、ここ数年の国際マーケットではスチールボディであっても4キャブレターの308GTBなら、ヴェトロレズィーナに近い価格で取り引きされている事例もあるようだが、残念ながら今回はそれほどうまくいかなかったということと思われよう。

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  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 1967年生まれ。かつてロールス・ロイス/ベントレー、フェラーリの日本総代理店だったコーンズ&カンパニー・リミテッド(現コーンズ・モーターズ)で営業・広報を務めたのちイタリアに渡る。帰国後は旧ブガッティ社日本事務所、都内のクラシックカー専門店などでの勤務を経て、2001年以降は自動車ライターおよび翻訳者として活動中。また「東京コンクール・デレガンス」「浅間ヒルクライム」などの自動車イベントでも立ち上げの段階から関与したほか、自動車博物館「ワクイミュージアム(埼玉県加須市)」では2008年の開館からキュレーションを担当している。
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