25%の自動車保険値上がりでハンマーで叩かれた気分に…
ドイツ在住で、モータースポーツを中心に取材している池ノ内みどりさん。ドイツでは物価や人件費の大幅高騰により全ての自動車保険が20~25%の値上がりすることになり、約300ユーロ(約5万円)の値上がりに。そこでドイツ自動車連盟であるADACのサービスセンターで保険内容のチェックを実施し、約2万6000円の節約に成功しました。自動車保険事情を紹介します。
憂鬱な来年の自動車保険の通知が…
2024年11月13日に初雪が降り、どんよりと1日中薄暗い日々が続くミュンヘンで、これからどんどんと冬も深まり太陽が恋しくなる季節が始まりました。
自動車保険の更新時期になり、憂鬱な来年の保険料の通知が届きました。私は日本のJAFに当たるADAC(ドイツ自動車連盟)の自動車保険に入っています。ADACの会員になっているとほんの少しだけ割引もあります。
ドイツの自動車保険は賠償責任保険(Haftpflicht-versicherung)と車両保険(Kasko-versicherung)の2つに分かれていますが、両方を一緒に契約します。自動車を登記する際には、先に保険会社と契約もしくは仮契約をして渡される数桁の番号を陸運局の窓口で求められますので、それがないと自動車を登記することができません。
ちなみに、自動車を登記する場合には、銀行口座の番号も一緒に登録し、毎年自動車税も自動引き落としされることも必要事項になります。日本ですと毎年封書で振込み通知が届きますが、ドイツでは滞納を防ぐために勝手に引き落としてくれますので、うっかり期限内の払い忘れをすることがなく、便利でもあります。
約5万円値上がりした自動車保険
物価や人件費の大幅高騰により、全自動車保険が20~25%の値上がりすることを事前にニュースで見聞きして知っていたのですが、実際にそれが手元に届くとビックリです。
私は等級がひとつ上がったにもかかわらず、きっちり約25%が値上げされていて頭をハンマーで叩かれた気分でした。幸いにも自宅近所にADACのサービスセンターがありますので、ママチャリに乗って自動車保険の内容についてのチェックに行ってきました。日本の「ほけんの窓口」のような便利な施設はありません。
ドイツの他の大半の自動車保険がオンラインのみの対応で、長~いコールセンターの待ち時間には辟易させられたので、5~6年前に直営店舗があるADACに切り替え、外国人である私にも安心で心強い存在となりました。約300ユーロ(約5万円)の値上がりした私の自動車保険。たとえ50ユーロでも節約したいと切実です。
レギュラーガソリンの1L価格は300円下回るが…
・年間走行距離の確認
・車両保険をフルのままにするのか、部分的なカバーにするのか
・免責額の確認
まずはこの3点から順に窓口の方がチェックをしてくださいました。日常生活はほぼママチャリなので仕事以外にはほとんど運転しないのですが、仕事で乗るとなるとかなりの長距離ばかりです。最近ちょっとだけ値下がりはして、レギュラーガソリンの1L価格が1.70ユーロ前後になり、日本円にすると300円を下回るようになりました。とはいえ少し前は340円前後が続いたガソリン価格の超高騰により、最近は長距離の取材はかなりセーブしているとはいえ、4月から10月で1万7000km以上は乗ります。自宅のあるミュンヘンからニュルブルクリンクを1往復しただけで、軽く1000kmを超えてしまいます。
ADACの方から「保険料を押さえるために年間走行距離をたとえば1万5000kmやもっと少なく減らして契約して、もしも大幅にその距離が増えていると後に高額な追徴金が発生する場合があります」と伺い、それは困りますのでこのまま年間1万7000kmのままキープ。
私の愛車は6年弱経っている車両ですが、後継モデルが出ないことと、X-Drive(BMWの全輪駆動車)で今は極端に値下がりがないということを調べていただいたうえで、「もしも自分の過失で事故を起こして愛車が全損した場合に、同じクルマを現金で購入できる財力はありますか?」と聞かれ、即座に「Nein(いいえ)!」と答えましたところ、車両保険は継続してフルで掛けておくことをお勧めいただいたので、そのまま継続です。
約2万6000円の節約に成功
そして、最後のポイントとなる免責額です。さまざまな組み合わせを試算していただき、賠償責任保険と車両保険の免責額をそれぞれ500ユーロまで上げると、なんとか一番値引き率が多いとのことでした。たとえば、車両保険の免責を1000ユーロまで上げたとしても、意外とそんなに保険料が低くなるわけではありませんでした。ここまでで、159.34ユーロ(約2万6000円)の節約に成功です。
数年前に1年だけやってみて、最初は楽しかったもののだんだんイラっとしてきたテレマティクス保険にも再び挑戦し、キャッシュバック作戦も頑張ってみる事にします! 速度やブレーキングやアクセルの使い方、ハンドリング等をチェックされているようで、ドライブごとにアプリと専用機器が連動して評価されるのです。
日頃は安全運転を心掛けて運転しているとはいえ、少しでも速度オーバーするとすぐに評価が下がり、キャッシュバックの金額の査定対象にもなります。日本のテレマティクス保険はドライブレコーダと連動しているのもあるようですが、ドラレコが普及していないドイツでは小さな専用機器が送られてきてアプリと連動させます。
数年前に挑戦した時は160ユーロ(約2万6000円)がキャッシュバックされたので、今回はそれ以上を目指したいと思います! それにしても自動車保険は年末に非常に痛い出費でトホホ。