きれいな泉の湧き出すキャンプ場でリラックス
目的地は、キャサリンから100km南のマタランカにあるビタースプリングス・キャンプ場に変更した。エルゼイ国立公園のなかにあるキャンプ場で、キャロル(ペリー氏の奥さん)のおすすめだった。到着すると、キャンプ場は家族連れでにぎわっていて、ぼくがチェックインしたときには、大きなキャンプ場なのに、
ビタースプリングスとは、文字どおり自然に湧き出す泉で、行ってみるとたくさんの人が水着で水泳(水浴び?)を楽しんでいた。水は冷たく、思いのほか、深い。小さい魚が一緒に泳いでいて、みんなリラックスしていた。
もう午後4時過ぎだったので、適当に水浴びを済ませてサイトに戻った。夕食を食べていると、今度は向かいのサイトからジャスティンという長身の男性が歩いてきた。シドニーの北の町に住んでいて、趣味は釣りや素潜りだという。
「ロブスターやアワビがたくさん取れるんだ。アワビをガーリックバターで焼いて食べると最高だよ!」
「うわ、たまらない!」
と、ぼくも応じた。
アポロ号の冷蔵庫は空になり、ぼくは最後のソーセージ2本をフライパンで焼いていた。日本にも行ってみたいというので、
「日本ではロブスターやアワビを採るのは違法だからダメですよ」
と釘を刺した。
翌日は1日で1000キロ走破を予定……
同じ年齢であることも分かって話が盛り上がったが、ある瞬間にジャスティンの顔色がさっと変わった。それは、ぼくが「明日はアリススプリングスまで走る」と言ったときだった。
「1000km以上あるよ。やめたほうがいい。どこかで1泊したら?」
と、繰り返し勧められた。しかし、妻を迎えに行くためには、どうしても明日のうちにアリススプリングスに着いておきたい。すでに、Airbnbも予約していた。
「そうか、仕方ないな。くれぐれも気をつけて」
そう言ってジャスティンは自分のサイトに戻った。たしかに1000kmは遠い。明日のロングドライブに備えて、いつもより早くベッドに入った。
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