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納屋物件のオンボロに500万円オーバーの値が…ジャガー「Eタイプ」は今なおパーツ入手可能! レストア後は数千万円の価値になるのは間違いなし

納屋物件のオンボロに500万円オーバーの値が…ジャガー「Eタイプ」は今なおパーツ入手可能! レストア後は数千万円の価値になるのは間違いなし

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TEXT: 武田公実(TAKEDA Hiromi)  PHOTO: Bonhams

レストアのインフラが整ったイギリスでは、まさにダイヤの原石?

このほど、ボナムズ「The Beaulieu Sale Collectors’ Motor Cars & Automobilia2024」オークションに出品されたジャガー Eタイプ OTSは、文字通り「バーンファインド」の個体。シリーズ1最初期の1962年5月1日に初登録されたというこの車両には、新車としての初登録以来8人のオーナーが記載された旧式フォーマットの継続記録簿(1965年11月29日発行)が付属しており、1974年に購入した8人目のオーナー(故人)が最後の記録者とされてはいるものの、1965年11月以前のオーナーは不明とのことである。

オリジナルのボディカラーは「オパールセント・グレー」で、1972年に「オパールセント・マルーン」に再塗装されたのち、再びグレーに戻されたといわれている。

このEタイプ OTSは、8人目のオーナーが週末に楽しむクルマとして短期間使用されたのち、1979年ごろから2年ほど前に現在の納屋へと移動されるまでの約40年間にわたり、ケント州グレーヴセンドにある家族のガレージに保管されていた。

そして、今回のオークションには「プロジェクト」状態で出品され、写真で見たとおりのコンディションで販売されることになっていた。現在ではなかなか希少となっているオリジナルのハードトップが残されているのも、特筆すべきことといえよう。

また旧式の「V5C」登録履歴証明と前述のログブックも、ともに提供されるという。くわえて3.8Lの「XK」エンジンのブロックには「R4523-9」の刻印があるが、ヘッド側の刻印は見えないとのことであった。

ちなみにジャガー Eタイプでは、最初期の3.8から4.2に至る「シリーズ1」がもっとも高く評価され、V12エンジンを搭載した最終進化形の「シリーズ3」がそれに次ぐポジション。6気筒時代の最終モデルである「シリーズ2」は、ルックスの点でシリーズ1には及ばないうえに、錆などの問題も発生しやすいことから、市場価格についてはかなり「お求めやすい」価格で推移している。

今なおあらゆるパーツが入手可能

そんな相場観のあるなか、ボナムズ社の営業部門は今回のオークション出品にあたって2万5000ポンド~3万5000ポンド(邦貨換算約477万円〜668万円)というエスティメート(推定落札価格)を設定していた。そして実際の競売では2万8750ポンド、現在のレートで日本円に換算すれば、約549万円で落札されることになった。

たしかに、3.8L時代のEタイプ OTSの相場価格からすれば、1/4か1/5以下に相当するハンマープライスではあるものの、スクラップを待ちながら長年にわたって納屋で放置されていたクルマに、これほどの価値があるのか・……? という疑問を持たれるのは、ある意味当然のことだろう。でも、熱心でしかるべき知識と財力のあるコニサー(通人)にとっては、文字どおりの「ダイヤの原石」ともなり得る可能性があるのだ。

ジャガー Eタイプのような英国の人気クラシックカーは、今なおあらゆるパーツが入手可能で、レストアを手がけるスペシャルショップも少なからず存在する。だから、ジャガー Eタイプを得意とするレストア工房に10万ポンドを投ずる。あるいはメカの腕に覚えのあるエンスージアストなら、自らの手で修復を完遂すれば、確実に15万ポンドで販売できるようなクルマへと変身を遂げるのは間違いないところである。

あとは完成後、自身が楽しむために手元に置くか、あるいは売りに出すかは新たな買い手次第……、ということなのであろう。

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  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 1967年生まれ。かつてロールス・ロイス/ベントレー、フェラーリの日本総代理店だったコーンズ&カンパニー・リミテッド(現コーンズ・モーターズ)で営業・広報を務めたのちイタリアに渡る。帰国後は旧ブガッティ社日本事務所、都内のクラシックカー専門店などでの勤務を経て、2001年以降は自動車ライターおよび翻訳者として活動中。また「東京コンクール・デレガンス」「浅間ヒルクライム」などの自動車イベントでも立ち上げの段階から関与したほか、自動車博物館「ワクイミュージアム(埼玉県加須市)」では2008年の開館からキュレーションを担当している。
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