交通事故がもっとも起こりやすい時間帯は夕方です
冬至が近づくにつれて日没時間が早くなると、夕方の交通事故が多発する傾向となっています。安全走行のためには、なによりも早めにクルマのヘッドライトを点灯させることが大切です。本格的な冬の到来に向けて、あらためてヘッドライトの使い方と重要性について説明します。
遅くとも16時にはヘッドライトを点灯しよう
交通事故がもっとも起こりやすい時間帯は夕方。仕事を終えた疲れや急いで帰りたいという気持ちの焦りはもちろん、最大の要因は日没が迫ったことによる視認性の悪化だと考えられる。室内のライトを消したときのように急に暗くなるわけじゃなく、徐々に明るさが減っていくせいでドライバーは意識しにくいが、それだけに歩行者などを発見するのが遅れてしまいがちなのだ。
とくに日没から前後1時間はクルマと歩行者の事故が多く、統計によると件数は明るい時間帯の4倍に達するという。そうした傾向は何も今に始まったことではなく、昔からヘッドライトの早め点灯が奨励されてきた。また2016年10月に道路運送車両の保安基準が改正されたことで、以前はオプション設定されることの多かったオートライト機能が、2020年4月から販売される乗用車(新型車に限る)では義務化。間(はざま)の時間帯とでもいうべき夕暮れの事故を減らすべく、業界が一丸となってあらゆる手段を尽くしてきたのだ。
とはいえオートライトじゃないクルマもまだまだ多く走っており、その場合はいつヘッドライトを点灯するのがベストなのだろうか。大半は「何となく暗くなったから」かもしれないが、理想は日没の時間から30分~1時間前といわれている。
太陽が沈みかける時間帯は空と地上の明暗差が少なく、クルマも歩行者も距離感を把握しにくくなってしまう。また暗くなれば当然ながら横断歩道や渡ろうとしている人も見えにくくなり、相手がいくら光を反射するリフレクターを用いたウェアを着ていたとしても、主な光源であるクルマのヘッドライトが点灯していなければ意味をなさない。
さらに日没前は太陽の角度が低くなって眩しさで視認性が下がるという面もあり、相手に気づいてもらうためにも早めのヘッドライト点灯が推奨されているのだ。あらためて説明するまでもないが、日没の時刻は季節によって違い、日中の時間がもっとも短い冬至は16時30分ごろが日没となる。上で書いた点灯すべき理想の時間から計算すると、遅くとも16時にはヘッドライトをオンにしたい。
事故を防ぐ最大のポイントはドライバーのマナー
雨や曇りであれば周囲の照度はさらに低くなるので、晴天時より早いタイミングで点灯することを心がけたい。ちなみにオートライトが当たり前になったからといっても、機能に任せっぱなしでは模範的なドライバーとはいえない。周囲が暗くなるのを検知し自動でヘッドライトを点灯し、エンジンを切ると自動で消灯するありがたい機能だが、それよりも前から点灯すべきシチュエーションはある。
そして義務化される以前のオートライトは、点灯のタイミングに関する規定が存在せず、メーカーや車種によって多少の差があった。だからといって安全じゃないというわけではないが、保安基準の改正後は以下のような規定が設けられている。まず周囲の照度が1000ルクス未満になったら点灯と明確に定められ、点灯時の応答時間は2秒以内で消灯時の周囲の照度は7000ルクス以上。消灯時の応答時間は5秒以上300秒以内になり、手動によるオン/オフの機能も廃止となった。
さらに改正した直後は新型車だけが対象だったオートライトの義務化は、2023年10月までに継続で生産されている車種にも適用され、今は商用車を含むすべての新車が新基準のオートライトを搭載しており、夕暮れ時にヘッドライトを点灯しているクルマは確実に増えている。ヘッドライトの早め点灯が自動化され安全性は高まったが、やはり事故を防ぐ最大のポイントはドライバーのマナーだ。
クルマの性能や自分の技術を過信することなく、暗くなれば相手の視認性も下がることを理解し、スピードを控えていつも以上に慎重な運転を心がけよう。