追い越し車線を走り続けるのは「通行帯違反」
クリスマスから年末、正月にかけては高速道路の利用が増える季節ですが、右側の追い越し車線を延々とゆっくり走っているクルマをときどき見かけます。こうしたクルマに追いついた場合どうすればいいのか、対処法をお伝えします。
「追い抜き」と「追い越し」の違いは正しく理解する
昔であればパッシングをして、車線を譲ってもらう方法もあったが、今それをやってしまうと、下手をすればあおり運転と認識されるリスクもある。同様に車間距離を詰めるのもNGなので、左側(走行車線)に車線変更をして左側から先行車両をパスしたいところだが、これは法的にはどうなのだろう?
道路交通法20条3項には、
「車両は、追い越しをするときは、通行している車両通行帯の直近の右側の車両通行帯を通行する」
と明記されているので、高速道路、一般道を問わず、左側からの追い越し行為は「追い越し違反」となってしまう(違反点数2点 反則金9000円/普通車)。
しかし、「追い越し」は違反でも、「追い抜き」なら問題はない。「追い越し」は、車線変更をして前方の車両の前に出て、再び走行車線に戻るまでの行為のこと。「追い抜き」は、車線変更をせずに隣の車線を走行するクルマよりも前に出る行為のこと。
つまり、前走車を左側の車線から「追い抜き」をしても、そのまましばらく左車線での走行を続ければ「追い越し」にはならないので、合法になるわけだ。
そもそも、追い越し車線を走り続けるのは、「通行帯違反」(違反点数1点、反則金6000円/普通車)だし、後続車に追いつかれたとき道を譲らないのも「追い付かれた車両の義務違反」(違反点数1点、反則金6000円/普通車)なので、追い越し車線に居座っているクルマが一番悪いのだが、こうしたドライバーほど、バックミラーを見ていない。
追い越し車線をゆっくり走り続けているクルマを見かけたら、あおり運転にならないように、遠目からライトオン(ロービーム)で近づくとか、右ウインカーを点滅させながら近づいていく、という方法もあるが、いずれもバックミラーを見ていないので、気が付かない可能性が高く、効果は薄い……。
そのような場合、無用なトラブルを避けるためにも、車線変更をせずに左側車線から「追い抜いて」いくのが今のところベターだろう。