新旧110台のマセラティによるパレードラン
イベント最終日には、現行モデルと歴代モデルを含む110台のマセラティがパレードランを行った。歴代モデルのなかでもひときわ目を引いたのが、「A6GCS ベルリネッタ」、1960年式の「3500」、1961年式の「3500GTスパイダー」、1966年式の「ミストラル」、1970年式の「ギブリ スパイダー」、「ギブリSS」、そして1971年式で北米仕様の「インディ4200/4700」であった。
パレードランは、チーロメノッティ通り沿いにある工場から出発し、モデナサーキットへと向かった。目的地に到着すると、ゲストはマセラティのマスターたちとともに「MC20」と「グラントゥーリズモ」の性能を試すことができた。また、グラントゥーリズモと「グレカーレ フォルゴーレ」によるアドレナリン全開のジムカーナや、「GT2 ストラダーレ/コルセ」によるサーキットアタックも行われた。
また参加者はモデナの丘陵地帯で、各モデルの路上でのパフォーマンスを体験する機会を得た。サーキットと路上での進化に加えて、FIA フォーミュラE世界選手権に参加する「MCXtrema」と「ティーポ フォルゴーレ」の走行も披露された。
この特別な体験をさらに豊かなものにするため、モデナの郷土料理教室も開催。ブランドとモデナの密接なつながりをさらに強調するものとなった。料理のエキスパートであるシェフの指導のもと、ゲストは伝統的なトルテッリーニの生地作りの秘訣を学ぶ機会を得た。
マセラティのサント・フィチーリCEOは、このようにコメントしている。
「マセラティの110周年をモデナで祝う機会を得たことを誇りに思います。この地域は、イタリアの自動車産業の中でも最も息の長い、ブランドの心臓部です。モデルは、パフォーマンス、デザイン、クラフトマンシップ、革新性という独自のビジョンを世界に発信する能力を備えており、イタリアン・ラグジュアリーを象徴する存在なのです。トライデント・エクスペリエンスは同社とこの街を再び近づけ、その絆を強め、最も美しく象徴的なクルマを展示することで、その卓越性を示しました」
AMWノミカタ
マセラティは1914年に自動車製造会社「ソシエータ・アノニーマ・オフィチーネ・アルフィエーリ・マセラティ」を立ち上げてから、110周年を迎える。1926年に初の「ティーポ26」を製造し、このモデルからマセラティの象徴である「トライデント」がつけられた。
マセラティの110年の歴史は決して平坦なものではなかった。オルシ家に買収され、その後、シトロエン、デ・トマソ、フィアット、フェラーリ、アルファ ロメオなどと手を組んでブランドは存続する。現在はステランティスグループに属するが、ここまでこのブランドが生き続けているのは、そのデザインの美しさやパフォーマンス、そして何よりもモデナの人々のこのブランドに対するプライドと情熱にあると思う。
マセラティは2024年前期で130億円以上の赤字を出し、いまだ順風満帆とはいかないが、電動化を推進し「フォルゴーレ」シリーズとともに新たなステージに向かおうとしている。120周年を迎えるときには、自動車業界の景色も大きく変わっているかもしれない。マセラティがそんな中でどのような姿を見せてくれるか楽しみである。