PHEVモデルの需要が伸びる
ジャガー・ランドローバー(以下JLR)は、同社の2024年上半期でプラグインハイブリッド(PHEV)モデルの需要が伸びていることを報告しました。バッテリー電気自動車(BEV)へのステップアップとして利用する顧客が増えていることを受け、全世界での販売台数が前年同期比で29%増加したといいます。JLRのレポートを紹介します。
PHEVモデルが前会計年度と比較して29%増
JLRは、2024年会計年度上半期の世界的な売上高が前年比29%増加したと発表した。「レンジローバー」のPHEVモデルは全世界での販売台数が2024年上半期で47%増加し、「ディフェンダー」のPHEVモデルは、全世界での販売台数が前会計年度と比較して23%増加している。
2024年度のPHEV販売は前年度と比較して前年比59%増となることからも、JLRの世界的なPHEV販売の加速的な成長が継続していることを意味している。
JLRの電動化サービス担当ディレクターであるマーク・カミレリ氏は、このようにコメントしている。
「顧客が電動化に慣れていくにつれ、弊社のPHEVモデルに対する需要が高まっています。PHEVは性能、燃費、低排出ガスを実現し、純粋な電気モードで走行中は排出ガスゼロを実現します。また、PHEVは次世代の完全電気自動車の発売に先駆け、家庭や公共の充電を含む新しい所有体験に顧客が慣れる機会を提供しているのです」
2039年までにカーボンニュートラル実現を目指す
JLRは、各市場のエネルギー転換の動きに対応する幅広い燃料オプションを提供し、2039年までにカーボンニュートラルを実現することを目指している。2030年までには、各モデルに完全電気自動車のバリエーションを提供していく予定である。
レンジローバーとレンジローバー スポーツのベースとなっているモジュラー・ロングテール・アーキテクチャー(MLA)の導入により、JLRは今後10年以上にわたって、顧客に内燃エンジン(ICE)、プラグインハイブリッド車、そして間もなく電気自動車(BEV)のオプションを提供していくことが可能となる。
レンジローバーとレンジローバー スポーツのPHEVモデルは、最長70マイル(約112km)まで電気のみで走行できることも特徴である。JLRは現在、同ブランド初のゼロエミッションの電気自動車であるレンジローバー エレクトリックの予約待ちリストに4万8000人以上の顧客を抱えている状況である。
AMWノミカタ
欧州ではここのところEV需要の低迷がニュースとなっており、各ブランドはEV導入計画をスローダウンさせている。これはEVに対する補助金が終了したり、個人消費が悪化したりとさまざまな理由が考えられるが、EVシフトをことさら高らかに宣言したブランドから影響を受けている感が否めない。
ランドローバーのお膝元であるイギリスのロンドンではすでに2019年からULEZ(Ultra Low Emission Zone)のような厳しい排ガス規制ゾーンが設けられており、仕方なくPHEVに乗り換えるような需要などもこの好調な数字を後押ししていることだろう。
しかしながらBEVの1本足打法ではなくMLAのようなプラットフォームを採用し、内燃エンジン(ICE)、PHEV車、そして電気自動車(BEV)と顧客に広い選択肢を与えられる柔軟性はランドローバーの強みであると感じる。さすが世界中のあらゆる道を知りつくしたブランドである。