中学生の頃から憧れていたスーパーZ
全国には、幼少期に憧れたクルマを大人になってからレプリカ車両製作して楽しむオーナーたちが存在します。今回紹介する大阪府在住の大中俊文さんは、今では伝説として語られている刑事ドラマ『西部警察』の大門団長に強い影響を受けたひとりです。大門団長が駆った「スーパーZ」のレプリカ製作した大中さんの愛車を紹介します。
電動式ガルウイングに悪戦苦闘
リアルタイムで『西部警察』を見ていた大中俊文さんは、当時中学生でPART2が放送されていて夢中になっていた。高校生になっても毎週欠かさず観ていて、大門団長のカッコ良さに惚れ込み、当時から大門団長愛用のレイバンをかけていたと話してくれた。
そんな大中さんは、当時の憧れを追い求めて「スーパーZ」のレプリカを製作。以前も「マシンX」のレプリカを作って所有していた大中さんは、次はスーパーZを製作すると決めていたという。しかし製作を進めていた段階で、協力してくれていたショップに不幸があり作業が途中でストップ。すでにボディは大幅な加工を加えてルーフも切っている状態だったので、このクルマは廃車にするしかないと諦めていたという。そんなときに板金屋の友人が作業を引き継いでくれて、こだわり抜いたスーパーZのレプリカが完成した。
「本物のマシンは油圧式ガルウイングですが、重量や強度の問題から公道仕様として電動式を選択しました。ガルウイングを成形するためのヒンジ、ドア枠、一体成型のアクリルウインドなどの製作が大変で、ようやく完成した物を取り付けると、今度は開閉時にズレが発生して所定の位置に戻ってこない症状に悩まされました。これを何度も微調整し、再製作を繰り返して完成させたので本当に苦労しましたね」
催涙弾発射装置やスカンクも装備
このスーパーZには本物と同じように反転式のパトランプをルーフに取り付けているが、これも一から作り、回転部分の構造とギアの強度不足を何度も手直しするなどの工夫を施している。絶対に諦めないという気持ちの強さが、このスーパーZの完成度の高さからも伺える。
ボンネットにはスーパーZの特徴である催涙弾発射装置を備え、リアバンパー下には中央のマフラーに加えて左右に煙幕発射装置こと通称「スカンク」のレプリカまで製作する凝りよう。ホイールも当時履いていたAMEをセットするなど、徹底したこだわりに感心させられる。
内装は、グローブボックスに本物と同じ東芝製オートレックス製アンプを設置。セレクトレバー前には催涙弾発射装置操作パネルとガルウイング開閉スイッチを専用パネルで製作している。
現在はイベント時のみ出動
完全なるレプリカとして完成度を追求した大中さんのスーパーZ。実際にドライブしてみると見切りが悪くて、運転しづらいことが判明した。そのため、左側ミラーに小型カメラを追加。リアに関してはほぼ見えないため、バックミラーをダッシュボード上に移設するなど、安心して走れるように安全面での工夫を加えたという。
完成当初はよく乗っていたスーパーZだが、あまりにも乗りにくいということから、現在はイベント時のみ出動するまさしく「特殊車両」になってしまったということだった。
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