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「マルニ」ことBMW「2002」が600万円弱で落札! 人気の丸テールにヨーロッパ仕様のディテールがおしゃれなノイエクラッセを紹介します

3万8500ドル(邦貨換算約580万円)で落札されたBMW「20002ti」(C)Courtesy of RM Sotheby's

マルニことBMW 2002のマーケット相場は、全世界的に高止まり

全世界を代表するチョコレートメーカー「ハーシーズ」が、米国ペンシルヴェニア州ハーシーで所有・運営するテーマパーク「ハーシーズ・チョコレートワールド」では、毎年10月に大規模なクラシックカーミーティングが開催されています。今回はRMサザビーズ北米本社が開催した2024年版「Hershey」オークションの出品車両のなかから、1台のBMW「2002ti」をピックアップ。モデルのあらましと、注目のオークション結果について紹介します。

高性能車を創るBMWの企業イメージを決定した傑作、2002とは?

1966年、BMWは「ノイエ・クラッセ」以来の優れた資質を生かした小型でスポーティなモデル、「1600」のボディを1クラス縮小したコンパクトな2ドアセダンとして「1600-2」をデビューさせていた。のちに「1602」と改名された1600-2は、スポーティな前傾姿勢のスタンスで目的意識を協調するとともに、低いウエストラインと大きなグラスエリアで優れた視界とモダンなルックスの両立に成功した。

このコンパクトなボディに、ノイエ・クラッセの上級グレードBMW「2000」用のM10型1991cc・100psユニットを搭載したのが、1968年1月に登場し、のちに自動車に残る名作と称されることになる「2002」。そしてその高性能版として、ノイエ・クラッセ「2000Ti」と共通のエンジン、2基のソレックス社製ツインチョーク式キャブレターで120psまでチューンアップを施した「2002ti」が同じ年の9月に追加設定され、ともに識者から高い評価を得ただけにとどまらず、商業面でも大きなヒットを博した。

1971年には、クーゲルフィッシャー社製フューエルインジェクションの効力で、さらにパワーを向上させた「2002tii」がtiに取って代わり、1973年にはターボモデルがデビュー。欧州車としては初のターボチャージャー装着車となった「2002ターボ」は少数の製作に終わったものの、ほかの2002ファミリーは絶大な人気を誇った。

くわえて、サーキットレースやラリーなどのコンペティションシーンでも大成功を収めたことにより、BMWのハイパフォーマンスカー製造会社としての名声を、まさしく確固たるものにしたのだ。

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ヨーロッパ仕様のディテールを持つ洒脱な1台

2024年10月初旬、「Hershey 2024」オークションに出品されたBMW 2002tiは、シャシーナンバー「1687077」。詳しいヒストリーについてはとくに記されてはいないが、2017年にポーランドから入手されたこと、ならびに翌年に米国に輸入されたことは判明しているとのことである。

日本では「丸テール」と呼ばれる丸型テールランプと、ダイキャストのラジエターグリルを持ついっぽうで、このあとの世代の北米仕様のような巨大な5マイルバンパーもない。また、ベージュのボディカラーに、同じくベージュのファブリック+タンのビニールによるコンビ内装が組み合わされるという、魅力的なカラーコンビネーションが映えた、じつに素敵な個体と感じられる。

そのかたわら、ロナール社製と思われるアロイホイールや2002tii用の樹脂製サイドモールが追加されるなど、外装にはノンオリジナルな点も見受けられながらも、いずれも雰囲気を損なうようなものでなく、1970年代前半の時代感を巧みに反映した魅力的な1台といえよう。

「リザーヴなし」で出品

アメリカ上陸直後の2018年、この2002tiは機械的な改修を受け、燃料系やサスペンション、ブレーキシステムなどとともに、クラッチにも徹底的なリビルドが施された。これらの作業のあとに発行された請求書は、出品にあたって添付されたドキュメントファイルに保管されている。

このBMW 2002tiについて、RMサザビーズ北米本社は「よく整備され、見栄えも良いこの快活なクーペは、ツーリングやショーに最適だろう」という宣伝文句とともに、3万ドル~4万ドル(当時のレートで約444万円〜592万円)という、強気のエスティメート(推定落札価格)を設定。また、この出品ロットについては「Offered Without Reserve(最低落札価格なし)」で行うこととした。

この「リザーヴなし」という出品スタイルは、たとえ出品者の意にそぐわない安値であっても落札されてしまう危険なリスクもあるいっぽうで、確実に落札されることから会場の購買意欲が盛り上がり、エスティメートを超える勢いでビッド(入札)が進むこともあるのがメリット。

そしてこの日のオークションでは、エスティメート上限突破とまでは行かないものの、出品側も落札者もともに満足できるであろう3万8500ドル。つまり、日本円に換算すれば約580万円で競売人の掌中のハンマーが鳴らされることになった。

かつては200~300万円でコンディションの良い個体に十分手の届く相場感のあったBMW 2002だが、ターボを筆頭とする高性能バージョンが牽引するかたちで大幅な価格高騰が発生してしまった。

今回の落札価格も、そんなマーケットの動静を反映したものといえるだろう。

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