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ヒョンデの「日本カー・オブ・ザ・イヤー2024-2025」6位は大健闘!「アイオニック5N」が票を稼げなかった理由とは【Key’s note】

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TEXT: 木下隆之(KINOSHITA Takayuki)  PHOTO: 木下隆之(KINOSHITA Takayuki)/HYUNDAI/COTY

追加グレードながら最終選考に残れたのが凄い!

COTY選考理念には「その年に国内販売されたモデルの中の優秀なクルマに……」との文言があります。これまで例外なく大賞は、新型モデルに輝いています。マイナーチェンジや車種追加は選考対象車に選ばれることも稀なのです。

日本レコード大賞や漫才のM1グランプリにたとえるならば、一昨年にヒットした歌を再編曲した、あるいは爆笑をさらったネタのリニューアルが評価されることはないですよね。やや妙なたとえをお許しいただきたいのですが、つまり、単純なグレード追加モデルが最終選考で6位になるなんて、腰を抜かしかけたとしても許されるような気がします。

じつは不肖木下隆之は、マツダ CX-80に最高点を与え、次点をホンダ フリードとしました。3位はアイオニック5Nとしています。つまり、アイオニック5Nを高く評価しているということです。とはいえ、これほど評価されるとは思っていませんでした。最終選考会の会場で、得点が積み重なるモニターを2度見してしまったほどです。

それが証拠に、僕が高く評価していたトヨタ クラウンスポーツは、10ベストから落選しています。専門家の評価は高いのですが、クラウンには4つの車型があり、そのひとつであるクラウンクロスオーバーが2022年に3位になっています。車種追加ゆえに得点が伸びなかったのではないかと推察しているのです。

趣味性の高いモデルは票を得づらい傾向にある

さらに言うならば、趣味性の高いモデルは票を得づらい傾向にあります。60名の選考委員が10ベストに選出されたモデルの中から3台に投票しなければなりません。しかも、1位には10点、2位には4点、3位には2点が決まりです。評価が僅差だからと言っても、10点と9点に振り分けることはできません。平均的に点数を稼ぎやすいモデルが有利なのです。

趣味性の高いモデルは好き嫌いが分かれるところですね。とくにスポーツカーはその傾向が強いようです。平均的に評価されやすいモデルが有利という点でアイオニック5Nは不利なのです。それでも6位に輝いた。僕が驚きを隠せないのはそれが理由です。

近年では2022年に日産 フェアレディZが7位、3年前のトヨタ 86/スバル BRZの2位は大健闘しましたが、シボレー コルベットは7位でした。スポーツカーが大賞に輝いたのは、いまから18年前のマツダ ロードスターに遡らなければなりません。

つまり、アイオニック5Nはそれほど多くの負の条件を抱えながら10ベストに選考され、しかも最終選考会6位になったのですから、その数字より高く評価されたのだと言っていいと思います。これからアイオニック5Nから目が離せませんね。

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  • 木下隆之(KINOSHITA Takayuki)
  • 木下隆之(KINOSHITA Takayuki)
  • 1960年5月5日生まれ。明治学院大学経済学部卒業。体育会自動車部主将。日本学生チャンピオン。出版社編集部勤務後にレーシングドライバー、シャーナリストに転身。日産、トヨタ、三菱のメーカー契約。全日本、欧州のレースでシリーズチャンピオンを獲得。スーパー耐久史上最多勝利数記録を更新中。伝統的なニュルブルクリンク24時間レースには日本人最多出場、最速タイム、最高位を保持。2018年はブランパンGTアジアシリーズに参戦。シリーズチャンピオン獲得。レクサスブランドアドバイザー。現在はトーヨータイヤのアンバサダーに就任。レース活動と並行して、積極的にマスコミへの出演、執筆活動をこなす。テレビ出演の他、自動車雑誌および一般男性誌に多数執筆。数誌に連載レギュラーページを持つ。日本カーオブザイヤー選考委員。日本モータージャーナリスト協会所属。日本ボートオブザイヤー選考委員。
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