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なぜトヨタ「86」後期に前期のエンジンを搭載?「日本最北の86乗り」が2度のエンジンブローを乗り越えて開眼した境地とは

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TEXT: 木下琢哉(KINOSHITA Takuya)  PHOTO: 木下琢哉(KINOSHITA Takuya)

人生初の新車! 86後期GRスポーツを購入

2019年、2台目のトヨタ 86として後期型GRスポーツのオーナーとなり、早速マルマンモーターズに持ち込み、エキマニからマフラーまで排気系をフルにパワークラフト製に変更するなどのチューニングを施した。同時にサーキット走行も楽しみ、タイムも徐々にあがってきて走り仲間&ライバルも増えてきたことで、よりタイムアップを目指し、走り方にも変化が表れてきた。その効果もあり2020年もタイムアップに成功し、2度目の86ライフは順調かと思われた。

十勝スピードウェイで2回のエンジンブロー……

2021年の秋、十勝スピードウェイの長いストレートで突然悲劇は訪れた。5速ギアに入れた瞬間、エンジンがブローしたのだ。はっきりとした要因はわからなかったが、エンジンを開けてみるとバルブサージングが起きたのかインテークバルブが折れ、ピストンと当たった形跡があったとのこと。修理はディーラーにて行い、ほぼ新品エンジンといえる内容で修理し無事、復活をとげた

エンジン修理から1万kmちょっと走行した2022年秋、またもや十勝スピードウェイで悲劇は起きた。今回は笠原さん自身が起こしたことを自覚していた。ストレートエンド、0.1秒を削るためにブレーキングしながらのシフトダウンの際に、5速から一気に3速にブチ込みオーバーレブ。9000回転オーバーまで回ったそうだ。その結果、ロッカーアームのピンが抜け、ヘッドカバーをブチ抜いてしまった。この時のエンジン修理はさすがにディーラーには依頼できなかったので、マルマンモーターズに相談することになった。

もしかして日本初!? 後期に前期A型エンジンを載せちゃいました

中古エンジンの載せ替えを検討したが、中古エンジンが高額だったため断念。そこで先述した、不慮の事故で廃車となったトヨタ 86前期のエンジンを笠原さんはまだ所有していたので、その前期のA型エンジンをこの86後期に載せることにした。

そのまま載せると、まんま前期のエンジンになってしまうので、今回ブローしたエンジンのインマニを流用。エンジンルームを開けると、一見、後期エンジンのように自然に仕上がっているが、じつはほぼ前期A型エンジンという、日本初? いや世界初? の「狼の皮を被った羊」仕様が完成した。

この愛車でサーキットの他にも、ジムカーナ、オートテスト、ドラッグレース、雪上走行と1年中、86での走りを楽しんでいる笠原さん。最近はこの前期A型エンジンがお疲れ気味なのか、パワー不足を感じているらしく、今後、パワーアップ計画も思案中とのこと。この先は悲劇が起こらないように86ライフをさらに満喫していただきたい。

>>>2023年にAMWで紹介されたクルマを1冊にまとめた「AMW car life snap 2023-2024」はこちら(外部サイト)

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