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「マルニ」や「3シリーズ」の源流となったBMW「1600-2」が355万円で落札! オリジナルに忠実な個体で手軽に始める旧車ライフにもってこい!?

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TEXT: 武田公実(TAKEDA Hiromi)  PHOTO: 2024 Courtesy of RM Sotheby's

歴史的価値と人気を秤にかければ……?

2024年10月初旬、「Hershey 2024」オークションに出品されたBMW 1600-2は、「1602」へと改名される前年、1970年に生産された1台。カラーコード023の「グラナダ」で仕上げられ、イタリアに新車で納車された。2017年にオランダのディーラーが入手するまで、イタリアに保管されていた。

2017年当時、このクルマは驚くほどに無傷で、年式の割に摩耗が少なかったという。また、その以前の段階で工場出荷時の正しいボディカラーであるグラナダ・レッドで再塗装されており、オリジナル性が高いと思われていたようだ。

今回のオークション出品者でもある現オーナーは、同じ2017年にオランダでこの1600-2を入手。すぐに母国であるアメリカに送り、自身が所有するクラシックBMWの素晴らしいコレクションの一角に加えた。

正確さとディテールにこだわる現オーナーは、2018年に1万ドル以上を投じて、ショックアブソーバーやゴム製のシール類、ブッシュ、ホース、そのほかの機械部品や化粧部品の多くを交換し、このクルマを路上へと復帰させることに成功した。

いっぽうインテリアは、もとより年式からするとありえないほどきれいで、おそらくこの1600-2がずっと愛され、あまり乗られず、大切に保管されていたことを示している。

近年のマーケット相場からすると高め……?

このBMW 1600-2について、RMサザビーズ北米本社は「希少なファクトリーカラーとアロイホイールを備えたこの素晴らしい1600-2は、自動車関連の集まりで話題になること間違いなし」というPRフレーズを添えるとともに、2万5000ドル~3万5000ドル(当時のレートで約370万円〜約518万円)という、現在の2002の相場価格に近いエスティメート(推定落札価格)を設定。また、このロットについては「Offered Without Reserve(最低落札価格なし)」で行うこととした。

この「リザーヴなし」という出品スタイルは、ビッド(入札)価格の多寡を問わず確実に落札されることから会場の購買意欲が盛り上がり、エスティメートを超える勢いでビッドが進むこともあるのがメリット。しかしそのいっぽうで、たとえ出品者の意にそぐわない安値であっても落札されてしまうという不可避的な落とし穴もある。

そして迎えたオークション当日の競売は、リスクを冒したことが裏目に出てしまったようで、終わってみればエスティメート下限を下回る2万3100ドル、日本円に換算すれば約355万円という、出品者側からすれば不本意だったとも推測される落札価格で、競売人の掌中のハンマーが鳴らされることになったのだ。

ただし、このハンマープライスは1600-2ないしは1602のマーケット相場からすればけっこう高めであるのも事実。現在の3シリーズに至るオリジン「マルニ」のさらに開祖という歴史的価値があっても、国際マーケットですでに人気モデルとなっている2002の相場に拮抗するまでは行かない……、ということなのだろう。

>>BMWの専門誌「BMW LIFE2」はこちら(外部サイト)

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  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 1967年生まれ。かつてロールス・ロイス/ベントレー、フェラーリの日本総代理店だったコーンズ&カンパニー・リミテッド(現コーンズ・モーターズ)で営業・広報を務めたのちイタリアに渡る。帰国後は旧ブガッティ社日本事務所、都内のクラシックカー専門店などでの勤務を経て、2001年以降は自動車ライターおよび翻訳者として活動中。また「東京コンクール・デレガンス」「浅間ヒルクライム」などの自動車イベントでも立ち上げの段階から関与したほか、自動車博物館「ワクイミュージアム(埼玉県加須市)」では2008年の開館からキュレーションを担当している。
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