究極のタイプRを目指して無限のノウハウを結集
無限(MUGEN)はホンダ直系のカスタマイズパーツブランド。無限製エンジンはF1で通算4勝を挙げ、今もスーパーフォーミュラやSUPER GTで活躍するバリバリのレーシングチームでもあります。そんな無限から最新のFL5型「シビック タイプR」の性能をさらに引き上げるパーツ群「グループA」が登場。今回そのデモカーにクローズドコースで試乗することができました。
空力パーツから足まわり、排気系までラインアップ
無限のFL5型「シビック タイプR」向けパーツは「Extreme “R”」をコンセプトに、究極のタイプRを目指したという。無限のレース経験からのノウハウと、スーパーフォーミュラでTEAM MUGENのマシンで2021/2022連続シリーズチャンピオンを獲得している野尻智紀選手を開発ドライバーとして迎えて開発。まずは開発完了した「グループA」から発売となった。
この「グループA」では、エアロパーツ、インテリアパーツ、ホイール、マフラーをラインアップする。エアロパーツは「フロントアンダースポイラー」、「フロントバンパーガーニッシュ」、「サイドガーニッシュ」、「リアウイング」、「リアアンダースポイラー」をラインアップ。
見た目にも前に張り出したフロントアンダースポイラーは目立ち、フロントのダウンフォースを高めて高速安定性を高めてくれる。ガーニッシュなどで走行風を整流し、サイドステップも車体下への空気の巻き込みを防いでくれる。リアウイングは走行ステージによって効果が調整できるように可変式となり、翼端板はドライカーボン製として軽量化とスタリングのイメージをよりレーシーに引き立ててくれる。
ホイールはBBSジャパンとの共同開発品で、FL5型に最適な剛性に設計。純正ホイールに対して4本で約10kgの軽量化を可能にするが、軽いだけでなくその剛性バランスに注目。クルマに合わせて剛性を最適化することで、適度なしなりを生み、それがタイヤを路面に適切に接地させてくれる。
仕上げはマフラー。センター1本出しの設計で排気効率をアップさせ、アクセルレスポンスを鋭くし、よりクルマを扱いやすいものにしてくれる。レーシーながらジェントルなサウンドもポイントになる。
限界が極めて高くなっていることを実感
今回のテストコースはモビリティリゾートもてぎの南コース。広場に白線とパイロンで作られたコースだが、3速全開からの中速コーナー、さらに2速で曲がる低速コーナーでが連続してレイアウトされている。
走り出してまず感じるのはエンジンの元気よさ。無限スポーツエキゾーストシステムによって排気抵抗が減ったことで、アクセルに対するエンジンの反応がよくなりクルマが軽く感じられる。加速していくと気持ちの良いサウンドが室内に入ってくる。
ブレーキを踏んでコーナーに入っていくとスムーズで、限界が極めて高いことを感じられる。これはホイール剛性の最適化によって、タイヤが綺麗に路面を捉えているからこそ、高いμを発生していると考えられる。路面に凹凸のあるコースだが、しなやかに路面を捉えて離さないのはホイールの効果が大きいだろう。
クルマ自体が向きを変えていくハンドリング
そして、驚いたのはコーナリング進入でリアタイヤが滑るほど曲がること。これはFF車でありがちな、フロントヘビーでアンダーステアになりがちなので、リアの限界を意図的に落として、リアタイヤを滑らせて向きを変えようというものとはまったく異なる。
2速のタイトコーナーで思い切って進入していくと、フロントタイヤのグリップが高く強烈に向きを変えていく。このフロントが強烈に曲がることで、リアがスライドしはじめる。クルマとしては理想的な動きで、ブレーキングとステアリング操作を駆使してそのリアがスライドするギリギリで走れれば、それがもっとも速い。
むちゃくちゃに曲がるからこそ思い切ってステアリングを切ることができ、強烈に向きを変えられれば結果的に切る舵角も減ってくる。少ない舵角で向きを変えられるが、リアを振り出して曲がるのとはまったく異なるもので、本質的にクルマが向きを変えているのだ。
この素晴らしいハンドリングを、FL5型シビック タイプRに無限パーツを組み込むだけで得られるならば、これは相当にお得。本気でサーキットを走る人も、普段乗りの人もレベルの高いハンドリングが楽しめるはずだ。
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