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映画『カーズ』ピストンカップの「キング」のモチーフとなった車が3700万円オーバーで落札! プリマス「ロードランナー スーパーバード」とは

映画『カーズ』ピストンカップの「キング」のモチーフとなった車が3700万円オーバーで落札! プリマス「ロードランナー スーパーバード」とは

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TEXT: 武田公実(TAKEDA Hiromi)  PHOTO: 2024 Courtesy of RM Sotheby's

フルレストアされて間もない個体が出品

2024年10月初旬、「Hershey 2024」オークションに出品されたプリマス ロードランナー スーパーバードは、フルレストアされて間もない個体。

新車時以来のフェンダータグには「トーアレッド」(EV2)のボディカラーに、「ホワイト」(P6XW)のバケットシートが装備されたインテリア。「ダナ」の9 3/4インチ・リアアクスル、ファイナルギヤ比3.54:1の「シュアグリップ」ディファレンシャル。そして、この時代のMOPARを象徴する「ピストルグリップ」シフターつき4速マニュアルトランスミッションが装着されていたことが記されている。

いっぽうキャビンには、これもMOPARの象徴的な「チック・タック・タコ(Tic-Toc-Tach)」コンビネーションメーターと、ロードランナーの特徴である「Beep, Beep!」というルーニートゥーンズにインスパイアされたホーンが装備されている。

しかしこの個体でもっとも重要なトピックは、ナンバーズマッチのオリジナル440cu.in.(約7.5L)「シックスパック」V型8気筒エンジンが現在でも保持され、標準指定とされた3基の「ホーリー」社製2バレル・キャブレターの搭載が確認されていることである。

この440「シックスパック」のスーパーバードは、パワーでは「426ヘミ」には及ばないものの、オプションでATも選択できたほどに乗りやすさでは上回っていたことから、一般公道で伝説のエアロカーを楽しみたいエンスージアストたちに長く愛されてきた。

「ヘミ」なら5倍以上に跳ね上がる可能性も?

そしてこのオークション出品車は、ナンバーマッチのエンジン、ハンサムなファクトリーカラーリング、ピストルグリップ型シフターなど、国民的英雄「キング・ペティ」のモータースポーツ・マジックを感じたいMOPAR愛好家にはたまらないディテールも備えている。

そんなスーパーバードに、RMサザビーズ北米本社は12万5000ドル~17万5000ドル(当時のレートで約1850万円〜約2590万円)というエスティメート(推定落札価格)を設定。また、このロットについては「Offered Without Reserve(最低落札価格なし)」で行うこととした。

この「リザーヴなし」という出品スタイルは、たとえ出品者の意にそぐわない安値であっても落札されてしまう危険なリスクもあるいっぽうで、確実に落札されることから会場の購買意欲が盛り上がり、エスティメートを超える勢いでビッド(入札)が進むこともあるのがメリット。

そして迎えたオークション当日、競売は予想以上に盛り上がったようで、入札締め切りの段階ではエスティメートの上限突破とまでは行かないものの、24万2000ドル。つまり、最新のレートで日本円に換算すれば約3720万円で、競売人の掌中のハンマーが鳴らされることになったのだ。

この落札価格は、円安の為替レートも相まってかなり高価なものであることは間違いない。しかし、生産台数わずか135台という426ヘミを搭載したスーパーバードであれば100万ドル超えも珍しくはない現在の市況を思えば、やはり希少性やストーリーがマーケットの趨勢を左右することを認めざるを得ないだろう。

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  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 1967年生まれ。かつてロールス・ロイス/ベントレー、フェラーリの日本総代理店だったコーンズ&カンパニー・リミテッド(現コーンズ・モーターズ)で営業・広報を務めたのちイタリアに渡る。帰国後は旧ブガッティ社日本事務所、都内のクラシックカー専門店などでの勤務を経て、2001年以降は自動車ライターおよび翻訳者として活動中。また「東京コンクール・デレガンス」「浅間ヒルクライム」などの自動車イベントでも立ち上げの段階から関与したほか、自動車博物館「ワクイミュージアム(埼玉県加須市)」では2008年の開館からキュレーションを担当している。
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