フォルクスワーゲン新型パサートのプラグインハイブリッド仕様に試乗
2023年9月にミュンヘンの「IAAモビリティ2023」にて世界初公開されたのち、2024年7月、「Volkswagen NEW ERA」と題したプレス向けイベントにおいて、マイナーチェンジ版の新型「Tクロス」と新型「ゴルフ」、新型「ティグアン」とともに日本初披露されたフォルクスワーゲン新型「パサート」。それからしばしの時を経た11月25日に国内販売がスタートするとともに、念願のテストドライブの機会も与えられることになりました。
今度のパサートはワゴンだけ
「パサート」は、水冷+前輪駆動フォルクスワーゲン(以下VW)の開祖ともいえるモデルである。伝説のNSU「Ro80」のレシプロエンジン版ともいえそうな「K70」は、たしかに水冷でFWDながら、あくまで急場しのぎの別枠的モデル。VWの市販FF車としては初めて本格的に量産されたのが、「ゴルフ」よりも1年早い1973年にデビューしたパサートとされているのだ。
そして、今回のフルモデルチェンジで9世代目となった現在に至るまで50年以上にわたるロングセラーモデルとして、同社のベストセラー・ゴルフに次ぐ第2位、あの「ビートル(タイプ1)」を超える3400万台以上を販売してきたという。
新型パサートは、セダン需要が低下している欧州のトレンドに適合すべく、開発段階からワゴンとしての使い勝手を優先した専用モデルとしてリニューアル。現時点では、先代までのワゴン版に命名されていた「ヴァリアント」が省略され、単に「パサート」と呼ばれることになったようだ。
新開発のプラットフォームは、8代目に採用された「MQB」の進化版たる「MQB evo」へと移行。その恩恵によってアダプティブシャシーコントロールの「DCC」は「DCC Pro」へと進化を果たしたことにより快適な乗り心地と俊敏なハンドリングを両立。また、駐車補助の「Park Assist Plus」では守備範囲を増やすなど、先進的な運転支援機能も充実したとのことである。
パワートレインは3種類をラインナップ
また「B9」こと9代目パサートでもうひとつ注目すべきは、先代からさらなる大型化が図られたボディサイズ。ホイールベースは先代から50mm伸ばされた2840mmとなり、全長は130mm増の4915mm、全幅は20mm増の1850mmとなったいっぽう、全高のみは10mmダウンの1500mmとなった。
サイズアップの恩恵はリアシート容積アップのほかラゲッジスペースにも表れ、後席使用時に先代比40L増の690L、後席をすべて倒せば先代比140L増の1920Lを実現したとのことである。
パワートレインは、1.5Lガソリン+48Vマイルドハイブリッドシステム+前輪駆動の「eTSI」と、2.0Lクリーンディーゼル+4WDの「TDI 4モーション」、そして1.5LのTSIガソリンエンジンにプラグインハイブリッドシステムを組み合わせ、最大142kmのEV航続距離を誇る「eHybrid」をラインナップ。WLTCモードの燃費性能は、eTSIで17.4km/L、TDIで16.4km/L、eHybridでは18.0km/Lと公表されている。
新型パサートのグレード展開は、1.5L+48VマイルドハイブリッドのeTSIのみに設定されたエントリーモデルの「エレガンス ベーシック」と、キャビン内のインフォテイメント系やシートなどの装備を充実させた「エレガンス」、そして専用エクステリアやアルミホイールなどでスポーティに仕立てられた「Rライン」からなる3グレードが設定され、パワートレインと組み合わせると総計7グレードからセレクトできることになっている。