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10万円以内でローバー「ミニ」に酷暑を乗り切るエアコンを自ら装着! あえてデチューンして「デイラリー」に挑戦…普段は快適通勤カーです

ローバー ミニ:古谷 健さん/木下周平さんが乗り込みデイラリーに参戦。クラス1位を獲得した

デイラリーはドラマありきのモータースポーツ

ラリー競技の最高峰イベントであるWRC=世界ラリー選手権の1戦が日本で開催されていることを背景とした近年のラリーブームのなか、運転免許証とクルマがあれば誰でも気軽に参加できるJAF公認のラリー競技、「関東デイラリーシリーズ」の2024年度最終戦、男女川ラリーが2024年10月13日に開催。かわいいクラシックカーのローバー「ミニ」で参戦したオーナーを紹介します。

「デチューン」を施したミニがエントリー

WRCを世界最高峰とするラリー競技を下支えしている、もっとも身近な現場のモータースポーツともいえるのが「デイラリー」。公道に設定された各区間をイベント運営者から指定されたアベレージ速度で走行し、指示速度に近い正確さで走り抜けてきたかどうかを、競技コース上に設けられたポイントでチェック。正解の通過タイムとのタイム差の少なさを競いあいます。

競技車両のチューニングといえば、走りにこだわったエンジン性能アップ系から、乗り味追求のサスペンション系、ドレスアップ効果も備えたエアロパーツ系など、いくつかのお決まりとも言える方向性があります。こちらのデイラリー参加車には、生活に密着した公道モータースポーツであるラリーならではといえる改良が施された車両がありました。

それが、2024年シーズンの関東デイラリーに参戦し、僅差のポイント争いでシリーズトップ獲得の最終戦に臨んでいた古谷 健さんのローバー「ミニ」。オーナー自ら「デチューン」を施したというミニは、落ち着いた橙色のボディカラーをまとっていました。

ラリー界におけるミニ クーパーと言えば、必ず話題にあがるのがモンテカルロ・ラリーでの大活躍の伝説。世界ラリー選手権がシリーズ戦として統括される以前より、ヨーロッパのラリー界で最も伝統的なイベントであるモンテカルロ・ラリーで、ミニは1964年から1967年にかけて3度も優勝。オーバーハングも少なく排気量1300ccの小型自動車とはいえ、氷雪の峠道のターマックステージの上り下りで、往年の天才ドライバー、パディ・ホプカークやラウノ・アルトーネンなどの卓越したドライビングテクニックで操られたミニは小気味よく走り抜けました。そして、ミニより排気量もガタイもでかいフォード「ファルコン」やランチア「フルビアHF」、ポルシェ「911」などの並いる強豪マシンたちを打ち負かし、総合優勝をとげた時代があったのです。

毎日の通勤で活躍するミニは自家製エアコン付き!

そんなミニのリアのトランクを開けてびっくり。通常はスペアタイヤが収まるスペースには、12Vのリチウムイオンバッテリーなど、なにやらおごそかな装置が搭載されていたのです。これぞ、オーナー古谷さんが語るところの「デチューン」。

「1番高くついたのはこのバッテリー、あとの部品調達すべて合算しても10万円もかからずに完成しました」

そう話すのは、自家製のカーエアコン・システム。

エアコン作動用のバッテリー電力保持のためのオルタネーター設置はもとより、エアコンガス補填、冷気誘導パイプ、リアインナールーフへの排気ボックス設置など、何から何までDIYという、驚きの快適エアコン。人件費はタダとも言えるものなので当然安上がりではありますが、じつは徹底した作り込みがなされています。車内ルーフマットとルーフとの間には断熱材まで潜ませているというのですから、これぞ羽織裏にこそこだわるような、粋というものでしょうか。

ただ単に速くあればいいという性能アップのために施されたマシンチューニングもオツですが、地球の温暖化もあり……。

「毎日の通勤や生活にも活躍してくれているミニですので、エアコンは必需だったんです」

また、ミニを譲り受けたときにはレース仕様的1.3Lエンジンであったものを、1Lバージョンへ換装してあるとも。これぞ古谷さんならではの「デチューン」。生活重視のラリー仕様で、競技中に軽快な車内コンディションが効力を発していたのも事実です。

痛恨のミスコースをするもクラス1位

シリーズ最終戦、アベレージ走行の正解通過タイムとの差が10秒単位の誤差ごとに1ポイント減点となるCクラスでのシリーズチャンピオンを目指していたスタート前の古谷/木下クルーは、「僅差であっても勝敗の行方に大きく関わるクラスでもあるので」と、減点ゼロのパーフェクトランを目指す意気込みを語ってくれていました。が、ラリー中盤にクルーを襲ったのは、あろうことかの痛恨のミスコース。 

もはや、ただただ挽回を続けるしかない厳しいアベレージ走行となってしまったのですが、わずかな区間でなんとか凌ぎきる展開となり、ゴールに辿り着けば結果はクラス1位。ミスコースにもめげず戦況を好転に向かわせた車内には、今シリーズにアベレージラリー初参加のクルーが数戦を経て培ってきた絆があったのはもちろんですが、冷静沈着なナビゲーションとドライビングをフォローする車内環境、すなわちエアコンも効力を発揮していたはずなのです。

運転免許証があれば普段乗っているクルマで誰でも参加できるJAF公認のラリーイベント、デイラリーの関東シリーズ。ドラマあふれるモータースポーツですので、あなたの愛車であなた自身のドラマを演じてみてはいかがでしょう。

■JMRC関東デイラリーシリーズ
http://www.day-rally.com/2024/

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