モータースポーツ初心者にとって一挙両得なデイラリー
みんなの家庭に行き渡っているクルマにはメンテナンス、整備点検による安全性維持が必須です。この作業を遂行できる能力を持つ自動車整備士がいるからこそ、クルマに支えられているみんなの社会生活が成り立っています。
ドライバーとコ・ドライバーのコミュニケーションを介して、競技区間で指示速度に応じたアベレージ走行をこなし正確な走行を競うデイラリーは、競技舞台である公道を安全に走れるクルマあってのもの。WRC(世界ラリー選手権)など規模の大きいラリー競技では、スピード走行の限界域を勝負する競技マシンを入念にチェックするサービスポイントが設けられています。若き整備士はプロフェッショナルのモータースポーツの現場でも、人材として求められているメカニックの卵でもあるのです。
整備士を目指している彼らは、デイラリーの現場で掴んだものを何かしらフィードバックすることになるでしょうから、クルマ文化全体としても、ますます充実してくると期待せずにはいられません。
1980年代、WRCの主力戦闘マシンが市販車そのものの形状だったグループAの時代では、三菱やスバルが世界選手権やアジアパシフィック選手権へ、全国のディーラーから集った整備士を引き連れて、世界のラリー現場の熾烈なサービス地点に送り込み、現場を体験させていたことがよくありました。
デイラリーでは参戦して完走を果たせば、JAFの競技ライセンスの交付申請をして、モータースポーツイベント参戦に必要なJAF競技ライセンスの第一段階であるBライセンスが取得できます。講習料を払って受ける座学でライセンスを取ることもできますが、デイラリーではラリー現場の実体験を通してライセンスを取れるのです。
モータースポーツビギナーにとって一挙両得な価値があるデイラリー。初期から参加していた関東工業自動車大学校ラリー部に、そんな判断があったのは明らかでしょう。表彰式後、申請用紙をもらいに事務方に駆けつけていた参加者も10人ほどいました。
クルマ社会に欠かせない整備士が人材不足になりつつあると危惧されている昨今の日本ですが、ゆくゆくは学生たちが整備するようになる普段使いのクルマとともに、モータースポーツとしてのラリーの楽しみ方も市場に広まっていく、そんな未来が感じられるデイラリーでもありました。