フレームもデザインもアメリカ車の影響を強く受けた2代目「クラウン」
1962年に登場した2代目「トヨペット クラウン」は、1960年に改正された小型自動車規格の変更にあわせてフルモデルチェンジした車両です。そのため、初代よりも全長が長く、全幅も拡大。「クラウン」としての威厳を主張する王冠エンブレムや豪華なグリルなどは、この代から始まった意匠でした。誕生から60年以上が経過した2代目クラウンを所有するオーナーに話を聞きました。
時計かクルマかで悩んだ自分への記念品
2代目「トヨペット クラウン」の最終型である1967年式のデラックスを9年ほど前に入手した石田 勇さん。それまで勤めていた仕事をリタイアしたタイミングで、その記念にクラウンを手に入れた。
「仕事をやり遂げた自分への、形に残る記念品を買おうと考えていました。それまで、私はクルマに対してまったく興味が無いタイプでした。そのため、趣味グルマのような車両を購入したこともありません。でも、せっかくの記念なので、時計かクルマのどちらかにしようと悩んでいたのです」
もしクルマを購入するのであれば、昔から憧れがあったアメリカ車も検討していた石田さん。しかし、住まいが田舎であるため、面倒を見てくれるお店の存在や、目立ち過ぎるデザイン、そして日常で乗り回せるのかなど、不安要素がいっぱい。そんなときにクラウンの存在を認知した。
アメリカ車らしさが漂う「クラウン ピックアップ」にも興味が沸いていたそうだが、車両を見つけることができずに断念。結果的に某中古車サイトで販売されていたこの個体を発見。気に入ったため、車検を取得して長野県から地元まで陸送してもらったのだった。
無知であるがゆえ、修理を待たされる状況が続く
「このクラウンを買った当時の私は、本当にクルマのことを何も知らなかったのです。構造やシステムなんて理解していないレベルだし、古いクルマを所有することがどれだけ大変なのかも分かっていませんでした。だから、街中でよく見かける一般的なクルマ屋さんが、この手の旧車の面倒はあまり見てくれないということも知らなかったのです。クラウンを買ってからいろいろと洗礼を受けて、学んでいきました(笑)」
購入してすぐにエンジンがかからなくなるトラブルが発生した。そのため知人のお店に修理を依頼したものの、いつまでも経っても手をつけてもらえず。仕方なく勉強して、自分でパーツを探したりと四苦八苦。それでも放置されがちだったそうで、自分で面倒を見た方が早いのでは? という気持ちに傾いたのだとか。結果的に購入から2年ほどはまともに乗ることができず、それからようやく、日常で使える状態に復活を遂げたのだった。
「ずっと預けていても、なかなか修理が終わらなかったのです。古いクルマは部品の入手や手間がかかるので、面倒だったのかもしれませんね(笑)。とにかく知らないなりにいろいろと学んで、自分で整備をするようにしたのです。
現代の車両では無理ですが、このクラウンの時代だったらエンジンなどもシンプルで分かりやすかったのもラッキーでした。自分でメンテナンスをしているのでもちろん愛着も強いし、たまに調子が悪くなっても、不調の原因も把握しやすいのがいいですね!」
装備されている性能はできるだけ活用したい
そうして少しずつ手直しをし、鈑金といった部分はプロに頼った。2年前には全塗装を実施して、現在の美しさを獲得。装備も8トラック用オーディオも修理して完調している。もともとAMしか入らないラジオも聞けるようにしているし、バンパーはバフがけからの再メッキで惚れ惚れするような鏡面仕上げに。ステアリングやホイールキャップ、グリルなどは自分の好みで同じ2代目の別年式の仕様のものを流用と、少しずつ自分好みの雰囲気に仕上げている。
余生はクラウンとともに生きると決めた石田さん。クルマに対して知識が無くても、情熱があれば楽しい旧車生活を送ることができると証明してくれた旧車オーナーだった。
>>>2023年にAMWで紹介されたクルマを1冊にまとめた「AMW car life snap 2023-2024」はこちら(外部サイト)