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精肉業で活躍していたトヨタ「クラウン ピックアップ」を譲り受けるも…前オーナーの亡霊が憑いてた!? トラブル続きを乗り越えて現在フル稼働中

トヨタ クラウン ピックアップ:1969年式はマイナーチェンジ後のため、顔つきがよりスタイリッシュに

ライトバンやピックアップも存在したオールドクラウン

トヨタ「クラウン」といえば、同一車名で今でも販売が継続されている最も古い車種であり、かつ誰もが認める高級車。そのクラウンにも、初代&2代目の「トヨペット マスターライン」から3代目「クラウン ピックアップ」までは、ピックアップトラック仕様が存在していました。「オールドカーIN肥前浜駅」で見かけた「クラウン ピックアップ」は、オールドクラウン界の有名人が約4年前に引き継いだ由緒正しき個体。その入手にまつわるヒストリーを紹介しましょう。

精肉業の社用車として活躍していたピックアップ

2024年9月22日に佐賀県鹿島市浜町のJR九州肥前浜駅前で開催された「オールドカーIN肥前浜駅」の主催は、NPO法人 肥前浜宿水とまちなみの会。その担当としてこのイベントを取り仕切っていたのが、このトヨタ「クラウン ピックアップ」のオーナー、“ダミアンマツオ”さんだ。

古い国産車が好きでその手の雑誌などを読み漁ってきた方ならば、この名前を聞けば分かる方も多いだろう。某誌でのイベントレポートや、プラモデル企画の塾長を務めるあのお方だ。所有したクラウンは初代からはじまり15台以上を入手し、レストアからカスタムまで手をかけてきた猛者だ。今回の個体は、2020年3月に入手した車両となる。

「もともとは、鹿児島県で精肉業を営む創業者のおじいさんが所有していた車両です。創業当初から実際に活用されてきた社用車で、クルマにはだいぶ薄くなっていましたが、当時の屋号も残っていました。そのおじいさんにとってこのクラウン ピックアップは、会社のシンボルであり、ご自身のアイデンティティだったんだと思います。同じオールドクラウンの会の会員だったこともあり、たまに会うと早く譲ってくれと、私がせがんでいたんですよ(笑)」

ところがある日、参加しているオールドクラウンの会の件で連絡を取ってみるものの、音信不通の日々が続く。しばらく時間が経って、ようやく先方から連絡が来たと思ったら、電話の向こうの声はおじいさんの娘さん。そして、訃報を聞かされたのだった。

引き上げ当日にトラブル発生!

お墓参りを兼ねて、前オーナーのご家族と対面した“ダミアンマツオ”さん。この車両を譲ってほしい旨を伝えると、先方は快諾。しかも、引き取ってくれるのならばお金は不要という申し出がご家族からあったそうだが、それを自ら断ったという。その後、車両状態を確認し、適正な相場価格を払って譲り受けることになった。

「整備が継続されていたようですが、決して良好な状態ではありませんでした。おじいさんがこの車両の整備をお願いしていたディーラーに、ご家族経由で整備を依頼してもらい、車検を取ってもらって、後日自走で引き上げることにしたのです。でも、私が引き継ぐことを亡くなったおじいさんが天国で拒否していて、それをクルマも理解しているのか? そう思わせるほど、引き上げ時からいろいろありました(笑)」

同じトヨタのクルマといえども、古い車両のためディーラーもパーツの入手に苦労した模様。もともと決まっていた引き上げ日の前日に、「ヘッドカバーガスケットが予定日までに届かない」という理由で、“ダミアンマツオ”さんの元に泣きの連絡あり。それを自ら入手し、当日持参して修理からの車検を通してもらい、なんとか納車。

納車翌日にVベルトが切れるトラブル発生

ところが今度は、翌日の帰宅の道中で知り合いのクルマ屋さんに寄る途中、Vベルトが切れるというトラブルに遭遇する。不幸中の幸いでベルトは入手できたので、再びそのディーラーに状況を説明し修理してもらって、ようやく下道で自宅へと戻ったのだった。

「あのときは、本当におじいさんの亡霊がついているんじゃないかと思いましたよ。性格的にも割と元気なタイプの方だったので、お前なんかにワシのクラウンをやるもんか! ってね(笑)」

その後、このクラウン ピックアップは“ダミアンマツオ”さんの好みの雰囲気に仕上げてフル稼働中。大切に乗り続けられた個体は、同じ趣向を持つ有志に未来永劫受け継がれていくのだ。

>>>2023年にAMWで紹介されたクルマを1冊にまとめた「AMW car life snap 2023-2024」はこちら(外部サイト)

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