速度制限解除区間があることでおなじみのアウトバーン
日頃はどこへでも1人で運転したい派のドイツ在住の池ノ内みどりさんですが、今回の取材はフォトグラファーのダニーさんと2人で取材先へ向かうことに。楽しかったシュトゥットガルトのクリスマスマーケットに後ろ髪を引かれつつ、アウトバーンを走行しての移動です。一部に速度無制限区間の残る高速道路として有名なアウトバーンですが、日本人が思い描くイメージと現実は異なります。実際のアウトバーンの走り方を紹介します。
工事区間は40~100キロの速度制限
私はありがたいことに助手席でずっと楽をさせていただきましたが、やはり運転したい衝動にウズウズ(笑)。とくに通過したアウトバーンの速度制限解除区間が、アップダウンと程よいカーブ、その上そこそこ空いていたので運転するのはさぞかし楽しいはず! しかし、私が以前に所有していた日産の「ミクラ」(日本ではマーチ、イギリスではマイクラと称される)ではトルクが弱すぎて、このような区間はアクセルペダルベタ踏みでも進まず……。ほかのクルマとの速度差や加速度が違いすぎてめちゃくちゃ怖くて地獄だったのを思い出し、運転手のダニーさんと盛り上がりました(笑)。
ドイツのアウトバーンは、速度制限解除区間があることでも有名です。一度は自走してみたいと思っておられる方も多いのではないでしょうか。いまも全区間が速度無制限だと思っておられる方にもたまにお会いするのですが、じつは年々その区間は減少傾向にあります。ひとつの要因は工事区間の多さでしょうか。
工事区間では道路幅によりますが、40~100km/hの速度制限となっています。非常に狭い区間では追い越し車線には2.1m(両サイドミラーも合わせて)などの車幅制限があり、非常にハラハラドキドキする場面もあります。運転席側はすぐにガードレール、助手席側は40tの大型トラックのスレスレという状況で、そこをすり抜けるには精神統一が必要です(あくまで私の雑感です)。ダニーさんの愛車はBMW「330i」のツーリングで、工事区間のトラック追い越しではあまりにもスレスレで助手席の私はちょっとハラハラしました(笑)。
思わずドキッ! オービスにご注意
常設と仮設を含めてドイツのアウトバーンには一定数のオービスが隠れていますので、いつも気を付けています。お恥ずかしながら、ほんのわずかとはいえ、速度超過をしてお手紙が後に自宅へ届いてがっかりした過去も。日常生活を節約して過ごしているというのに罰金に支払うお金があれば、どれだけ高級な食材が買えた? 素敵なレストランでコース料理を楽しめたかも? 我慢していたコートも買えたかも?……と、そんなことを考えながらアウトバーンを走ることにしています。
いつも通る区間は大体どこにオービスがあるのか覚えているのですが、初めて走る所にはどこに隠れているのか分からないのでドキドキしますよね。ドイツは日本のようにオービスを探知するアプリなどの使用は禁止されていて、警察に発見された場合は処罰の対象になります。
たまにあるトラップ的な仮設式のオービスは、たとえば長い速度制限解除区間からいきなり120km/h規制の表示が出たと思えば、その後すぐに100km/hになっているような箇所に設置されることもあります。160km/h前後で気持ちよく走っていたのに、いきなり120km/hになって強いブレーキを踏みたくないので、軽くブレーキを踏んで転がしながら減速しようと思っている時にパシャ! っと光った経験もあります。幸いにも超過速度が低くて警察からお手紙は届きませんでしたが、真っ暗闇で大きく光るオービスは心臓に悪いですね(ドイツのアウトバーンにはほとんど街灯がないので夜は真っ暗)。
一度このように光ってからは、ミラーをすぐに見て、後続車がないか確認したうえでブレーキをしっかり踏んで減速することにしています。ちなみに光った場所はニュルブルクリンクからの帰り道で、ホッケンハイムリンクの手前。レース関係者の間でも有名なポイントです。そのオービスがいつも置いてあるか分かりませんが、つねに用心しています。