遠くに見える「エアーズロック」に感動……しかし!
飛行機が遅れて、午後2時、妻が到着ロビーから現れた。彼女と大きなスーツケースを載せて、アポロ号は再び、アウトバックへと走り出た。
数分で町を抜けると、すぐに雄大な景色が広がる。ぼくは前日に嫌というほど見ていたが、東京でサラリーマンをする妻にしてみれば、これぞ異次元の世界である。自他ともに認めるシティ派だが、さすがにこの景色には感動しているようだ。スマホでバシャバシャと写真を撮っている。
3時間ほど走り、太陽が西に傾いてきたころ、左手前方にウルルが現れた。
「おお、すごい!」
「すごく大きいね。ここまで来てよかった!」
ちょうど、道路脇にビューエリアがあったので、クルマを止めた。ふたりでバシャバシャと写真を撮る。彼女は「夕日までここにいたい」と、勝手なことをいうが、キャンプ場まではまだ100km以上ある。昨日、闇の中のドライブでさんざんな目に遭った。今日は、明るいうちに着きたい。粘る妻を説得して、キャンプ場を目指す。
夕景のハイウェイを120km/hで激走したが、キャンプ場到着は7時。またしても真っ暗になってしまった。しかも、日が暮れるとキャンプ場のなかも分かりにくい。なんとか、自分のスポットを見つけて、アポロ号をキャンプモードにセットした。
ところで、途中で見えたウルルだが、じつはウルルではなかった。それはそうだ。あんなに間近に見えた山が、100kmも先のわけがない。バシャバシャ激写した山は、コナー山という別の景勝地だった。それに気づいたのは、帰りにもう一度、コナー山が見えてきたときだった。
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