無限がコンプリートカー開発で得た知見を継承
2024年1月の東京オートサロンにおいて、無限(MUGEN)は2台のホンダFL5型「シビック タイプR」を出展しました。鮮やかなレッドのボディカラーを持つ「グループA」に対し、マットシルバーを身にまとい、思わず息をのむような迫力を湛えていたのが「グループB」。無限の持つノウハウや経験をフルに投入して開発された「究極のタイプR」がまもなくベールを脱ごうとしている中、現時点で判明している情報をまとめて解説します。
カーボンやチタンを惜しみなく使用したパーツ群が「グループB」
ホンダのワークスチューナーとして知られる「無限(MUGEN)」。その活動は非常に多岐にわたるが、ホンダ車ファンとして思い浮かぶのは、市販車向けアフターパーツの開発・販売と、SUPER GTやスーパーフォーミュラをはじめとするモータースポーツ活動やチーム運営だろう。
もちろん両者はまったく別部署ではあるものの、モータースポーツ活動で得られた知見や、長年にわたる経験は市販車用アフターパーツにも活かされており、それこそが無限ブランドが世界中のホンダ車オーナーから支持や信頼を集める最大の理由といえる。
そんな無限は、2024年1月に開催された東京オートサロンにおいて、ホンダの最新FL5型「シビック タイプR」をベースに製作した2台の車両を発表した。1台は主にストリート仕様の「グループA」、そしてもう1台が、コンペティション仕様「グループB」である。
それに先立って無限は2023年1月に「シビック タイプR MUGEN CONCEPT」を発表しており、この2台は約1年をかけて開発された市販バージョンだ。
一見するとコンプリートカーのようではあるが、実際は樹脂素材やステンレス素材など、コストと機能のバランスを考えたパーツ群をグループAと呼称。いっぽう、カーボンやチタンといった高価な素材を惜しみなく使用したパーツ群をグループBとし、いずれもコンプリートカーではなくパーツ単体での市販化を念頭において開発されたという。
いわば、グループAは従来の無限製品と同様にストリートユースを重視したパーツであり、グループBはコスト度外視で性能を追い求めた、より「レース直系」なコンセプトのもと開発されたパーツ群といえる。
ダウンフォースは現時点で48%アップ、さらに開発が進行中
フロントまわりでは、上面に大きなエアアウトレットと左右に排熱フィンが配された「カーボンエアロボンネット」が印象的。そしてグループAと同形状ながら、素材をカーボンへと変更した「フロントアンダースポイラー」そして「フロントバンパーガーニッシュ」を装着。左右のフェンダーも排熱フィンが備わる「カーボンフロントエアロフェンダー」へと変更される。ボディサイドに装着される「カーボンサイドスポイラー」は、グループAと形状が異なる専用品が与えられている。
リアまわりでは「カーボンリアバンパーディフューザー」や「カーボンリアウイング」を装着。排気系はグループAと同様にセンター1本出しとなっているが、メイン素材をチタン製とすることで圧倒的な軽量化を実現している。ノーマルのFL5型シビック タイプRに比べ、ダウンフォースは取材時の仕様では48%もアップ。さらなる開発を継続しているとのことで、最終的に性能がどこまで向上するのか楽しみだ。いっぽう重量は約38kgの軽量化が実現されているという。
そのほか足まわりでは、車高調整式サスペンションを装着。ブレーキキャリパーはブレンボ製6ポットに交換されるほか、ディスクローターも2ピース構造のスリット入りタイプに変更されている。足もとは19インチのアルミ鍛造ホイール「FR10」で、タイヤはミシュラン製パイロットスポーツ2が組み合わされる。
いっぽうインテリアでは、スポーツステアリングホイールやシフトノブ、フルバケットシート「MS-C」、シフトレバー周辺には「カーボンセンターコンソールパネル」を装着。シートベルトやフロアマットもすべてブラックで統一され、「機能美」を追求した意匠でまとめられている。
機能や性能をストイックに追求し、無限の追求する「究極のタイプR」を具現化する「グループB」パーツ群は、目下、市販化を目指して開発が進行中。その登場を楽しみに待ちたい。
■問い合わせ
M-TEC/無限
TEL:048-462-3131
https://www.mugen-power.com