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昭和最後の「スカイライン」の限定500台「GTリミテッドS」は超希少車! 現存する貴重な1台は数奇な運命でオーナーのもとにやってきました

日産 R31型 スカイライン GTリミテッドS:見事なまでに直線で作られたフロントまわり。フロントスポイラーは、GTエクセルツインカム24Vに採用されたものと同形状

4輪独立操舵で話題となった7代目スカイライン

歴代の日産「スカイライン」の中で、最後の昭和生まれとなる7代目R31型。通称「7th(セブンス)」は、現代からは想像がつかないほど完璧な直線基調が特徴でした。当時大流行していたハイソカーブームの覇権を奪取するべく、従来のスポーツ路線とは異なる高級志向への挑戦がアダとなった不遇のモデル。今回はその7代目の中でも、初期に登場した「GTリミテッドS」を紹介します。

ボディバリエーション豊富な昭和最後のスカイライン

2024年9月22日に佐賀県鹿島市浜町のJR九州肥前浜駅前で開催された「オールドカーIN肥前浜駅」に、日産7代目R31型「スカイライン」がやって来た。1980年代の日産車の特徴だった4ドアピラーレスハードトップと、潔い直線基調のボディ。しかも約40年前の車両にもかかわらず、新車のような美しいコンディションに目を奪われた。

筆者の話で恐縮だが、18歳で免許取得後の初めての愛車が、当時、父親からもらったこの7代目スカイライン。グレードは「GTパサージュ」で、4ドアのセダンだっただけに、「7th(セブンス)」は今でも思い入れが深いクルマの1台だ。実車を所有していた経験値もふまえて、深町明男さんの愛車がどれほど美しい状態で現存しているか。その感動もあいまって、迷うことなく深町さんに取材を申し込んだのだった。

「入院している間にいつかスカイラインを購入しようと思い、好きだったR31型の中でGTS-Rを探していました。退院後に東京で売られていた実車を確認しに行き、後日購入するためにそのお店に連絡をしようとしたら、たまたま店休日で電話ができなかったのです。

そのときに他のクルマを検索したら、この個体を見つけてしまって。気になってお店へ連絡すると、整備記録などもしっかりと残っている個体であることが判明しました。結果的には東京のお店でGTS-Rを購入せず、このGTリミテッドSを手に入れたのです」

セラミックターボではない「RB20DETエンジン」搭載車

深町さんの愛車は、1986年2月に発売された限定500台のGTリミテッドS。この7代目は1985年8月に登場しているが、最初のボディバリエーションは4ドアセダンと4ドアハードトップの2種類のみで、エクセルと上位グレードのGTパサージュが設定されていた。この特別仕様車は、先に発売されていたGTエクセルツインカム24VのRB20DEエンジンをターボ化した、つまりRB20DET搭載車である。

なおこの7代目では、スポーツグレードのGTSが設定された際に、新機構のセラミック・ターボが採用され話題となった。このGTSの発売が1986年5月で、深町さんの愛車GTリミテッドSはその3カ月前の発売だったためセラミックは不採用。GTS以降はセラミック・ターボに統一されているため、普通のターボが搭載された希少車ということになる。

「整備のために、R31型スカイラインを扱うお店として一番有名な岐阜県のR31ハウスまで持って行きました。偶然お会いできた柴田社長が、GTリミテッドSは初めて見たとおっしゃっていたので、とても貴重な個体だと思います」

この車両を深町さんが入手したのは約3年前。もともとは新潟県佐渡島に住む方が所有しており、記録を見る限り、2003年頃からずっとガレージで保管されていた模様。それが関東のお店へと流れてきて、そこで販売されていたところを、たまたま深町さんがネットで発見し問い合わせたという経緯だった。

若い頃に苦労して乗れなかったが、55歳を過ぎてから実現

もともとは、同じR31型でもオーテックやトミーカイラが欲しかったという深町さん。しかし、探していた当時、すでに価格は高騰。値段の問題もありGTS-Rを狙ってみたが、ほんのわずかなタイミングの違いで、このGTリミテッドSを購入することができたと笑顔を見せる。

「このR31型が新車で発売されていた頃の私は、お金に苦労する生活をしていました。とてもじゃないけど、好きなクルマなんて乗れる身分じゃなかったのです。それから踏ん張って、55歳頃からやっと趣味グルマを持てる余裕が出てきました。

最初はいすゞ 117クーペ、次にホンダ NSX。117クーペを売却してトヨタ セリカLBに乗り換えましたが、それも売却してこのR31型を手に入れたのです」

購入当初はノーマルだったが、純正サスペンションがオイル漏れなどで要交換だったため、その機会にBLITZへと変更。ホイールは当時オプション設定されていた商品を某オークションで見つけて購入。こうして足まわりとマフラーは変更しているが、ほかは基本的に純正をそのまま残している。

「R31ハウスの柴田社長からも、現存個体がとても少ないから大切にしてくださいね! と言われました。日本で一番R31型に携わっている方にそこまで言っていただいたので、ずっと大切に乗りたいと思います」

万が一、深町さんが手放なさければいけない日が来るとしたら、その時はぜひ私に! と、筆者の心の叫びが漏れそうになる取材だった。

>>>2023年にAMWで紹介されたクルマを1冊にまとめた「AMW car life snap 2023-2024」はこちら(外部サイト)

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