もはや激レアで高嶺の花となっているバイオレット
日産初代710型「バイオレット」の2ドアハードトップは現存数の少ない貴重なクルマで、高騰が続く旧車市場において高嶺の花となっています。そんなレア車である名車のバイオレットを義父から譲り受け、フルオリジナルのまま当時の状態を保ち大切に乗り続けているオーナーに話を聞きました。
国際ラリーでも大活躍
後に日産の歴史に名を残す名車「バイオレット」は、1973年1月に発売された。510型「ブルーバード」がフルモデルチェンジによって「ブルーバードU」に移行するタイミングだったため、このバイオレットは「サニー」とブルーバード系のギャップを埋めるために投入された。そのため、型式は1971年8月に登場した610型ブルーバードに続く710型が与えられ、ブルーバードシリーズの1モデルとして位置づけられた。
ボディサイズはブルーバードUよりも小さく、510型ブルーバードよりも少し大きい丸みのあるスタイリングが特徴だ。ボディサイドを走る優雅な曲線は「ストリームライン」と名付けられ、バイオレットであることをアピールするポイントにもなっている。
ボディ形式は2ドアと4ドアのセダン、2ドアハードトップがあり、セダンとハードトップでは前後グリルのデザインを変更している。また、ハードトップのみリアウインドウに凹ガラスを採用している。
710型バイオレットは国際ラリーでの活躍も目覚ましく、サファリラリーやサザンクロスラリーで大活躍して総合優勝を獲得する実績も残している。また、国内ツーリングカーレースでは、はじまったばかりのグループ5規定によるスーパーシルエットレースにも参戦。トヨタ「セリカLBターボ」との対決も話題となり、存在感を示した。
日産のエンジニアだった義父から譲り受けることに
埼玉県桶川市在住の廿楽(つづら)尚さんは、そんな710型バイオレットを日産のエンジニアだった義父から譲り受けた。年式は1973年式で現在53歳の廿楽さんの年齢に近く、歳の差はたったの2歳だった。廿楽さんの義父が当時下取り車としてお客さんから引き揚げてきた車両を整備し、必要な部品を入れ替え、ナンバーを切って保管していた車体だという。
そのバイオレットの置き場所に困っていたタイミングで、廿楽さんが結婚して家を建て、自宅ガレージに置けると話すと「それならお前に譲ってやる」と、受け継ぐことになった。
当時のまま現状保存しているので、外装はもちろんシートもステアリングもコンディション抜群。走行距離は3万kmしか走っていないので、今となっては本当に貴重だ。
エンジンルームを開けても大切に保管されていたことは一目瞭然で、ナンバー付きで実際に走らせているバイオレットの中でこれほどの極上車は無いと言い切れる程度の良さであった。
廿楽さんは今後もオリジナル状態をキープさせることだけを考えて乗り続けるというが、当時のカタログで2ドアハードトップが装着していたホワイトリボン付きタイヤが欲しいそうだ。
「当時のタイヤなので状態はきっと悪いと思いと思いますが、可能ならカタログ合わせのスタイルを目指して仕上げたい」
と、望んでいた。
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