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ついにアストンマーティン「ヴァルハラ」の全貌が明らかに! F1由来のフレームにプッシュロッド式のフロントサスペンションに見る本気度とは?

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TEXT: AMW  PHOTO: Aston Martin Lagonda Limited

ブレーキシステムはヴァルハラ専用に設計

フロント6ピストン、リア4ピストンのベンチレーテッド・モノブロックキャリパーは、専用ダクトから直接マスエアフローを供給し、途切れることのない冷却を行う。ブレーキシステムはヴァルハラ専用に設計され、ブレンボのカーボン・セラミックブレーキ(CCB)技術を組み込んでいる。

このシステムは、アストンマーティンのスポーツカーで使用されたものとしては最大規模のフロントとリアのブレーキアッセンブリーを備えている。ブレーキ冷却性能を最適化するために、計算流体力学(CFD)解析、有限要素解析(FEA)、さまざまな世界的サーキットや風洞環境での厳密な物理テストなど、広範なシミュレーションと物理的開発が実施された。キャリパーは、冷却システムとシームレスに統合されるように設計されており、通気孔付きピストンを組み込むことで、ブレーキパッドとキャリパー内部の両方のエアフローと冷却効率を高めている。

また、インテグレーテッド・パワー・ブレーキの導入により、反応時間が短縮され、コントロール性が大幅に向上した。

「レース」モードでは、ヴァルハラの通常のブレーキシステムに加え、アクティブ・エアロダイナミクスがフロントとリアのアクティブ・エアロダイナミクス・サーフェスを調整し、エアブレーキを発生させる。エアブレーキはパラシュートのような役割を果たし、激しいブレーキング時に空気抵抗を大幅に増加させる。エアロダイナミック・ダウンフォースを利用して重量移動の力に対抗することで、ハードブレーキング時の安定性が向上する。空気抵抗の増加は、制動距離の短縮と制動時間の短縮にも役立つ。

ヴァルハラの主要な特徴のひとつは回生ブレーキ

アストンマーティン ヴァルハラの主要な特徴のひとつは回生ブレーキである。これにより、電動ドライブトレインでの航続距離が増加し、従来なら失われるエネルギーを再利用できるようになる。この機能はフロントアクスルのEモーターを活用して、ブレーキ時のエネルギーをHVバッテリーに蓄えることで実現される。
回生エネルギー変換の大部分は、ドライバーがブレーキを踏んだ際に行われる。

このとき、必要な減速力はフロントのEモーターと従来のブレーキの間で能動的に配分される。これは、車両がインテグレーテッド・パワー・ブレーキシステムを搭載しているため可能となり、ドライバーと実際のブレーキ機構を切り離すブレーキ・バイ・ワイヤシステムは、IVC(統合ビークルコントロール)システムに統合されている。これにより、フルABSブレーキング時にも積極的に利用できるという革新的なアプローチが実現され、サーキット走行時には顕著なメリットが得られる。

さらに、この回生ブレーキはトルクベクタリングシステムと連携しており、フロントアクスルの各ホイールに対して個別に回生トルクを分配することができる。これは技術的な大きな進歩であり、パフォーマンスと効率の向上を両立している。

AMWノミカタ

今回のヴァルハラのシャシーとブレーキはさまざまな特徴を備えているが、とくに興味の沸く部分はインボードマウントのスプリングとダンパーを備えたプッシュロッド式フロントサスペンションの採用なのではないだろうか。

かつて「One-77」や「ヴィクター」でも採用されたこのシステムの構造的なメリットは部品が外に出ていないため空気抵抗が低減できることの他にも、車体内部ダンパーがあるため調整や交換が容易であることも挙げられる。

構造が複雑で設計や製造に高い技術力が必要なため主にはフォーミュラーカーのような軽量を追求するマシンに搭載されるが、このサスペンションを999台の限定生産とはいえ市販車に搭載してくるあたりは、他車との差別化を含めアストンマーティンのドライビングマシンとしてテクノロジーの進化を極限まで追求しようとする姿勢がうかがえる。

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