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首都高速で間一髪の衝突回避もホイールキャップが…エンジンのオーバーホールが決まった矢先にごめん、ゴブジ号【週刊チンクエチェントVol.49】

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TEXT: 嶋田智之(SHIMADA Tomoyuki)  PHOTO: 嶋田智之(SHIMADA Tomoyuki)

埼玉の仲間の家を目指してた途中に……

だが、ゴブジ号が美しい姿をキープしていられたのは、この10日後までのことだった。

2021年12月25日の午後。僕はゴブジ号を走らせて、埼玉の地元の仲間の家を目指してた。華やかなクリスマスなんてものとは縁がなくてオッサンの集まりなのだけど、仲間内の忘年会に行こうとしてたのだ。しこたま飲むことが既定路線なので、もちろん1泊。ジュース代わりのランブルスコ何本かを積んで目黒のハズレの自宅を出て、首都高速の2号線から外環状、そして5号線へ。

御存知の方も少なくないだろうが、2号線と5号線はまるでワインディングロードのようにおもしろいコーナーが続く。そして5号線のとある左コーナーをクリアしようとしたとき、悲劇が起こった。チンクエチェントはスピードに限りがあるから、常に左車線。タイヤも糸のように細いから無理はせず、適度なリズムで走ってたわけで、フロントタイヤへの荷重の載せ方ひとつで曲がり方がガラリと変わるその特性を楽しみながら、ブレーキング、そしてターンイン。

すると、だ。ゴブジ号の斜め右前を走ってた黒く巨大なワンボックスが、何の前触れもなくこちら側にグイッと車線を割って切り込んできた。

うあーっ! マジかーっ!?

反射的にブレーキペダルを踏みつけながらステアリングを左に切ってワンボックスとの接触だけはギリギリ──あり得ないくらいギリギリ──で回避できたのだが、ほとんど左側の壁に貼りつきそうな勢いで行き場をなくした──壁ドン覚悟の──ゴブジ号は、壁にぶつかることこそなかったものの、その壁の足元の支え(?)みたいになってる出っ張りの部分に前後のホイールキャップをかすらせてしまった。いや、鳥肌が立つようなイヤな接触音を耳にした直後は左のフェンダーあたりにダメージを受けたかも……と思ったのだが、さすがに首都高速の上でクルマを停めるわけにはいかず。気の狂った運転をしてた黒のワンボックスをとっ捕まえて泣くまで罵声を浴びせかけてやりたかったが、18psで必死に走っても追いつけるはずがなく。結局、ホイールキャップだけですんだことを知ったのは外環経由で関越自動車道に入った三芳パーキングエリアでチェックしたときのことだったのだけど、気分は最悪。その晩の酒がちっとも美味くなかったのは言うまでもない。

博物館に電話を入れて報告とお詫びをしたら、深津さんは

「ホイールキャップなんて安いものだしパーツはたくさんありますから。回避できたのは嶋田さんのテクニックでしょ(笑)。大きい事故にならなくてホントによかったです」

なんて明るく言ってくれたが、おかげで僕はとっても鬱々とした気分で2022年を迎えることになった。

ゴメンな、ゴブジ号……。もっと上手く回避できたかもしれないのにな……。ホントにゴメン! ……くっそー。俺の2022年はどんなトシになるんだ……?

■協力:チンクエチェント博物館
https://museo500.com

■協力:スティルベーシック
https://style-basic.jp

■「週刊チンクエチェント」連載記事一覧はこちら

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  • 嶋田智之(SHIMADA Tomoyuki)
  • 嶋田智之(SHIMADA Tomoyuki)
  • 『Tipo』の編集長を長く務め、スーパーカー雑誌の『ROSSO』やフェラーリ専門誌『Scuderia』の総編集長を歴任した後に独立。クルマとヒトを柱に据え、2011年からフリーランスのライター、エディターとして活動を開始。自動車専門誌、一般誌、Webなどに寄稿するとともに、イベントやラジオ番組などではトークのゲストとして、クルマの楽しさを、ときにマニアックに、ときに解りやすく語る。走らせたことのある車種の多さでは自動車メディア業界でも屈指の存在であり、また欧州を中心とした海外取材の経験も豊富。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員
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