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750万円で「V12」が手に入る!? BMW「850Ci」が再評価されつつあるいま、リトラクタブルヘッドライトの「8シリーズ」に注目です!

750万円で「V12」が手に入る!? BMW「850Ci」が再評価されつつあるいま、リトラクタブルヘッドライトの「8シリーズ」に注目です!

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TEXT: 武田公実(TAKEDA Hiromi)  PHOTO: 2024 Courtesy of RM Sotheby's

E31系8シリーズの国際マーケット相場は、ただいま順調に高騰中?

2024年11月のRMサザビーズ「Munich 2024」オークションに出品されたBMW 850Ciは、その名が示唆するように1994年に生産された1台。E31系8シリーズでは6速MTと、850CSi以外は4速ATも選択できたが、この個体はデフォルトである4速ATで、「オリエントブラウ(濃紺)」のボディカラーに濃いダークブルー革のインテリアが新車時代から組み合わされていた。

当初はヨーロッパ市場向け仕様で製作されたこの850CSiは、サウジアラビアの大都市ジッダに住むシェイク(首長)によって新車としてオーダーされ、いったんは中東まで運ばれたものの、最終的にシェイクへと引き渡されることはなかった。しかしその代わりに、中東に駐在していたフィンランド人が購入。ヨーロッパへと帰国する際、ともに持ち帰ったとされている。

それらのヒストリーの結果として、この850Ciは強化型エアコンディショナーを装備するかたわら、触媒コンバーターは装着していないことなど、湾岸諸国向けスペック特有の要素が取り入れられている。

BMWクラシックによる出生証明書も添付

紆余曲折の末、2007年から「The Munich Masterpieces Collection」に収蔵されてきたこの個体は、オークション公式ウェブカタログ作成時の走行距離が9万344km。トランクリッド裏側にセットされた純正ツールキットに加え、ドキュメント類やマニュアル、この個体のシャシーとエンジンがマッチングナンバーであることを証明する「BMWクラシック」発行の出生証明書なども、出品にあたって添付されていた。

これらの状況とコンディションを加味してRMサザビーズ欧州本社は、3万ユーロ~5万ユーロ(当時のレートで約483万円〜約805万円)という、かつての8シリーズの相場価格を知る者からすれば隔世の感のあるエスティメート(推定落札価格)を設定した。

そして実際の競売では、ビッド(入札)が予測どおり伸びたようで、終わってみればエスティメート上限に近い4万6000ユーロ。日本円に換算すれば約750万円という出品者側、あるいは落札者側にとっても満足すべき価格で競売人のハンマーが鳴らされるに至ったのだ。

今世紀初頭、まだ中古車扱いだった時代には200万円~300万円でも比較的程度の良い車両が入手できたE31系8シリーズだが、2020年代に入り、その少なめの台数が希少価値へと転換されたこと。あるいは独特のスーパーカー風スタイルが、ヤングタイマー・クラシックの購買層に訴求力をもたらしたことも相まって、そのマーケット相場価格は確実に高騰しているようだ。

ちなみに「BMW M」のエッセンスが色濃く反映され、より希少価値の高い850CSiでは10万ユーロを大きくしのぐ実勢価格で推移しており、850i/Ciおよび840Ciのマーケット相場もそれに牽引されるかたちとなっている、ということであろう。

>>BMWの専門誌「BMW LIFE2」はこちら(外部サイト)

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  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 1967年生まれ。かつてロールス・ロイス/ベントレー、フェラーリの日本総代理店だったコーンズ&カンパニー・リミテッド(現コーンズ・モーターズ)で営業・広報を務めたのちイタリアに渡る。帰国後は旧ブガッティ社日本事務所、都内のクラシックカー専門店などでの勤務を経て、2001年以降は自動車ライターおよび翻訳者として活動中。また「東京コンクール・デレガンス」「浅間ヒルクライム」などの自動車イベントでも立ち上げの段階から関与したほか、自動車博物館「ワクイミュージアム(埼玉県加須市)」では2008年の開館からキュレーションを担当している。
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