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『サーキットの狼』のロータス「ヨーロッパ」が「日本一のフェラーリ遣い」の出発点!「幻の多角形コーナリング」ができるのか作者に尋ねてみたら…【極私的スーパーカーブーム】

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TEXT: 太田哲也(OTA Tetsuya)  PHOTO: 高桑秀典(TAKAKUWA Hidenori)/長尾 循(NAGAO Jun)

  • ロータス ヨーロッパ スペシャル:Wさんが愛用している1973年式のロータス・ヨーロッパSP
  • ロータス ヨーロッパ スペシャル:Wさんは現在42歳。24歳のときにデルタからヨーロッパTCに乗りかえたので、SPも含め、18年も愛用している
  • AUTOart 1/18 ロータス ヨーロッパ スペシャル(サーキットの狼/風吹 裕矢)
  • AUTOart 1/18 ロータス ヨーロッパ スペシャル:「星マーク」やフロントスタビライザーなども劇中車を再現
  • AUTOart 1/18 ロータス ヨーロッパ スペシャル:リアウイングや練馬ナンバーも再現
  • AUTOart 1/18 ロータス ヨーロッパ スペシャル:オートアート・コンポジットダイキャストモデルと呼ばれる独自の構造を採用
  • AUTOart 1/18 ロータス ヨーロッパ スペシャル:ボディはABS樹脂、インナーボディはダイキャストという構成
  • AUTOart 1/18 ロータス ヨーロッパ スペシャル:『サーキットの狼』の主人公、風吹裕矢の愛車を正確に再現したモデル
  • AUTOart 1/18 ロータス ヨーロッパ スペシャル:「ボディはABS樹脂、インナーボディはダイキャスト」というミニカーの構成は、まさにバックボーンフレームにFRPボディを載せた実車と同様
  • AUTOart 1/18 ロータス ヨーロッパ スペシャル:モデル後期の豪華になった室内もリアルに再現
  • AUTOart 1/18 ロータス ヨーロッパ スペシャル:ビッグバルブのロータス・ツインカム・エンジンが再現
  • AUTOart 1/18 ロータス ヨーロッパ スペシャル
  • AUTOart 1/18 ロータス ヨーロッパ スペシャル:ボディはABS樹脂、インナーボディはダイキャストという構成で質感までリアルに再現
  • AUTOart 1/18 ロータス ヨーロッパ スペシャル:モデル後期の豪華になった室内もリアルに再現
  • 『サーキットの狼』風吹裕矢仕様を再現したロータス ヨーロッパ スペシャル
  • 『サーキットの狼』風吹裕矢仕様を再現したロータス ヨーロッパ スペシャル

漫画『サーキットの狼』連載開始から50年! スーパーカーブームを振り返る

1970年代後半に日本を席巻した「スーパーカーブーム」のきっかけは、池沢さとし(現・池沢早人師)さんによる漫画『サーキット狼』の大ヒットでした。その連載開始が週刊少年ジャンプ1975年1月6日号(発売は前年12月10日)ということで、AMWでは2025年を「スーパーカーブーム50周年」と見立て、当時の熱狂を知る皆さんに思い出を振り返ってもらうことにしました。今回は、「日本一のフェラーリ遣い」と呼ばれた元レーシングドライバーのモータージャーナリスト、太田哲也さんです。

努力と情熱で「権力」に立ち向かうロータス ヨーロッパに心を掴まれた

思い入れの深いスーパーカーといえば、『サーキットの狼』の主人公、風吹裕矢が駆ったロータス「ヨーロッパ」だ。このクルマは、ライバルに比べて非力だが、低い車高や軽量ボディが有利な点で、漫画の中でも際立った存在感を放っていた。物語の中で、裕矢がライバルたちと繰り広げるレースは、スーパーカーの魅力を余すところなく描き出しているが、それ以上に僕の心を掴んだのは、その背景にある人間ドラマだった。

ライバルの早瀬佐近が乗るポルシェ「911カレラRS」もまた別の意味で印象深い。ハイパワーで直線の速さを誇るポルシェに対し、コーナリング性能で挑むロータス ヨーロッパ。でも低い車高が災いして悪路ではスタビライザーをぶつけてしまうからスピードを出せないハンデがある。早瀬佐近はいかにも金持ちのボンボンで、それがポルシェのキャラクターとマッチする。

僕は判官びいきなので、努力と情熱で「権力=ポルシェ」に立ち向かうロータス ヨーロッパの姿勢を自分と重ね合わせていたのだと思う。当時ははまだ免許を持っていなかったが、この漫画を通じてクルマへの興味と同時に、その頃はまったく縁がなかったレースに対する興味を持ったのだった。たとえば「幻の多角形コーナリング」という走り方に、これが本当に可能なのかと強い衝撃を受けた。

池沢先生に「幻の多角形コーナリング」について聞いてみると……

僕がフェラーリのGTのチームに移籍したころ、『サーキットの狼II モデナの剣』の第2巻(1990年6月発行)であとがきを書くという名誉をいただいたこともあり、この作品との関わりはその後も特別だ。この漫画がなければ、僕がレースの道に進むこともなかったかもしれない。振り返れば、レースやスーパーカーに縁がなかった僕がレーサーになり、さらにはスーパースポーツの試乗記を書く立場になるきっかけとして、『サーキットの狼』は欠かせない存在だった。

50年を迎えるスーパーカーブームの原点として、この作品が与えてくれた情熱と興奮、そしてそこから広がった多くの縁に感謝を込めて、改めてロータス ヨーロッパへの思いを記したい。あの頃の熱気は今でも心の中で燃え続けている。

ちなみに著者の池沢早人師さんと親しくさせてもらってから、あの幻の多角形コーナリングについて「あんな走り方します?」と聞いたら、「筑波の最終コーナーはそんな走りもするじゃない」と言っていた。まあそんなものか。

>>>それぞれの【極私的スーパーカーブーム】はこちら

■太田哲也さんのコラムはこちら
KEEP ON RACING
https://www.keep-on-racing.com/
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  • 太田哲也(OTA Tetsuya)
  • 太田哲也(OTA Tetsuya)
  • 1959年11月6日生まれ。モータージャーナリスト/元プロフェッショナルレーシングドライバー。1986年から当時のトップ・フォーミュラであったF3000やグラチャンに6シーズン出場。マツダのワークスドライバーにも抜擢され、プロトタイプカーのグループCカーによる国内レース出場及び海外テストを担当。ル・マン総合優勝車となるマツダ787Bなどをドライブした経験も持つ。その後GTレースに転向し、イタリアのフェラーリ準ワークスなどから4年連続でル・マン24時間レースにフェラーリF40GTEで出場。同時期に全日本GT選手権などでもフェラーリF40やF355で優勝するなど「日本一のフェラーリ遣い」の異名を取った。50代からは実業家にも転身、チューニング・ブランド「TEZZO」をプロデュース。著書『クラッシュ〜絶望を希望に変える瞬間』『リバース〜クラッシュ2魂の戻る場所』(共に幻冬舎)はベストセラーとなり映画化もされた。2024年度カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。
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