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バブリー感たっぷりなベンツ「500SEC」をガルウイングに! 80年代欧州チューナー魔改造車の現在の評価は? 当時はベースの2倍以上でした

バブリー感たっぷりなベンツ「500SEC」をガルウイングに! 80年代欧州チューナー魔改造車の現在の評価は? 当時はベースの2倍以上でした

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TEXT: 武田公実(TAKEDA Hiromi)  PHOTO: 2024 Courtesy of RM Sotheby's

好奇心だけでは、マーケットの論理を動かすのは難しい……?

2024年11月の「Munich 2024」オークションに出品された鮮烈この上ないメルセデス・ベンツ「500SEC」は、スタイリング・ガレージ社によって「ガルウイング」仕様に改造されたC126シリーズ500SECの57台のうちの1台とされている。

クラシックなホワイトのエクステリアは、跳ね上げ式ガルウイングドアと、スプリットリムのBBSアロイホイールによって演出される、低いスタンスが特徴的といえよう。

またグレーの全面本革レザー張りインテリアは、カスタムメイドのステアリングホイールとフロアマット。そして、オートマチック・ギアシフターは隼の頭部を模した木彫りという強烈な個性とともに、あくまで好みは分かれようとも特別感を演出している。

モディファイ作業終了後には「セレクションズ・インポート(Selections Import)」社によってアメリカ合衆国に輸出され、カリフォルニア州オークランド在住のフェラーリ・コレクターのもとで登録されたことが判明している。

そののち、2010年3月に今回のオークション出品者でもある現オーナーによって母国ドイツに戻され、主にメルセデス・ベンツのスペシャリストである「アウトハウス・ヴァイカー(Autohaus Weicker)」社によってメンテナンスされてきたという。

しっかりと整備された1台だが……

車両に添付されたサービス履歴ファイルには、2010年から2015年にかけての請求書が多数含まれており、なかでもドアを開閉する油圧システムのオーバーホールにあてた「5848ユーロ」と、ヒーターとウォッシャーシステム修復費の「1132ユーロ」は、とくに注目すべきところと指摘されていた。

現オーナーよりオークション出品を委託されたRMサザビーズ欧州本社では「ノーマルの500SECの洗練されたメカニズムに加え、1980年代の過剰な要素が加わったこの現代的なガルウイングには、すべてが備わっている」という謳い口上とともに、35万ユーロ~40万ユーロ(邦貨換算約約5730万円〜約6540万円)という、かなり強気なエスティメート(推定落札価格)を提示する。

ところが、2024年11月23日に行われたオークションではビッド(入札)が最低落札価格には届くことなく、残念ながら「Not Sold(流札)」に終わってしまったのだ。

とはいえ、この種のカスタムカーが前世紀末に中古車として流通していた時代には、ベース車両と同等、あるいは原状回復のための費用を請求されかねないことから、かなり安価で取り引きされていたことをご記憶の方も多いことだろう。

昨今のヤングタイマー・クラシック人気によって、この種の改造車にも再びスポットライトが当たってはいるようだが、そのことについて正直にいってしまえば、まだまだ好奇心まじりというのが現状。今回、売り手側が望んだような価格での落札は、まだまだかなり困難ではないかと思われるのである。

>>>Gクラスを特集したメルセデスの専門誌「only Mercedes」のvol.222を読みたい人はこちら(外部サイト)

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  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 1967年生まれ。かつてロールス・ロイス/ベントレー、フェラーリの日本総代理店だったコーンズ&カンパニー・リミテッド(現コーンズ・モーターズ)で営業・広報を務めたのちイタリアに渡る。帰国後は旧ブガッティ社日本事務所、都内のクラシックカー専門店などでの勤務を経て、2001年以降は自動車ライターおよび翻訳者として活動中。また「東京コンクール・デレガンス」「浅間ヒルクライム」などの自動車イベントでも立ち上げの段階から関与したほか、自動車博物館「ワクイミュージアム(埼玉県加須市)」では2008年の開館からキュレーションを担当している。
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